『知能の暴走と知性の未熟』 〜AI時代の「捕食者」から人類を守るための進化論〜

2026.02.28

組織・人材

『知能の暴走と知性の未熟』 〜AI時代の「捕食者」から人類を守るための進化論〜

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

歴史を振り返れば、人類史上最悪の惨劇の多くは、単なる「悪意」によってではなく、ある種の「正義」や「大義」の名の下に遂行されてきた。 独裁者、テロリスト、あるいは現代の経済的搾取を主導するエリート層に至るまで、彼らは自らを「世界を正しく導く者」と信じ、その過程で生じる大量の犠牲を「必要なコスト」として切り捨ててきた。 なぜ、高度な教育を受けた「知能の高い人間」が、これほどまでに冷酷な、あるいは非人間的な決断を下せてしまうのか。

はじめに:なぜ「正義」の名の下に大量の死が企てられるのか

歴史を振り返れば、人類史上最悪の惨劇の多くは、単なる「悪意」によってではなく、ある種の「正義」や「大義」の名の下に遂行されてきた。

独裁者、テロリスト、あるいは現代の経済的搾取を主導するエリート層に至るまで、彼らは自らを「世界を正しく導く者」と信じ、その過程で生じる大量の犠牲を「必要なコスト」として切り捨ててきた。

なぜ、高度な教育を受けた「知能の高い人間」が、これほどまでに冷酷な、あるいは非人間的な決断を下せてしまうのか。その答えは、現代社会が抱える致命的な「認知のバグ」にある。

1. 抽象化された正義:1人の悲劇を100万人の統計に変える思考の罠

「1人の死は悲劇だが、100万人の死は統計だ」という言葉がある。この冷徹な言葉は、人間の知能が持つ「抽象化」という能力の負の側面を鋭く突いている。

本来、私たちの身体は目の前の「1人」が流す血の匂いや、その悲鳴に共感し、痛みを共有するように設計されている。しかし、知能が高度化し、対象を「データ」や「パラメータ」として処理し始めた瞬間、その痛みは画面上の数値へと変換される。

大量の死を企てる者たちの正義は、この「抽象化」の極致にある。彼らの脳内では、生命は手触りのある存在ではなく、目的達成のための「変数」に成り下がっている。

知能が高ければ高いほど、この「現実からの解離」は巧妙かつ大規模になり、何百万もの人生を机上の計算式一つで抹殺する論理を構築できてしまうのである。

2. 現代社会のバグ:知能(能力)の進化に、知性(在り方)が追いつかない現状

現代文明は、テクノロジーや専門知識といった「知能(Intelligence)」を、かつてないスピードで進化させてきた。しかし、それを司る人間側の「知性(Intellect/Being)」、すなわち「人としての器」や「精神的な成熟度」は、何世紀もの間、停滞したままである。

知能(App):特定の課題を解く力、効率を上げる力、武器を作る力。

知性(OS):自分を客観視する力、他者の痛みを自分のこととして感じる力、全体の生

命の循環を理解する力。

私たちは、石器時代の感情回路(エゴ)を持ったまま、神のような力(AIや核兵器)を手にしてしまった。この「知能と知性のギャップ」こそが、現代社会があらゆる領域で機能不全を起こしている根本原因である。

3. 人類を「段階2(道具的知性)」の檻から解放するためのパラダイムシフト

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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