パートナー、共演者、上司、監督、スポンサーとしてのお客様について引き続き考えてみたい。
顧客は「上司」であり、また「監督」である。
上司や監督は「絶対的な君主」や「無言でお仕えしなければならない主」ではない。それでも上司、あるいは監督者が「No」と言ったら、答えは「No」になる。上司や監督者に対して、反論したり、自分の意見を述べることは出来るが、それでも最終的な判断が「No」であれば、それに従わなくてはならない。責任をとるのは上司や監督者である。最終判断は責任をとる監督者に委ねられなければならない。
上司や監督者が絶対的な君主や仕えなければならない主と違うのは、誰もが上司や監督の指示や命令に従う状況を変更する権利を持っているからである。どうしても上司の指示、監督者の命令に従うのが嫌であれば、会社を辞める、あるいは、組織を離脱することが出来る。
誤解を恐れずに申し上げれば、顧客との関係においても、対象とする顧客層を変えることが出来る。
ビジネスや経営をはじめとする人間の活動には必ず監督者が必要である。超自然的な力にでも導かれた超自然的な存在でもなければ「唯我独尊」などはありえないだろう。そう考えて自分を孤立させてしまこと、あるいは、自己満足の世界に浸ってしまうことは危険である。
ビジネスや経営には「上司」、「監督」、または、このような役割を果たすことになる「顧客」が不可欠である。自己満足さえできなければ、仕事は続かないが、自己満足だけでは仕事において付加価値は生まれないし、高まらない。
視点を変えて、上司や監督者としての立場で考えてみよう。その場合、部下に絶えず命令・指示を与えて、思いのままに部下を動かそうとするのは得策ではないことになる。作業内容があらかじめ決まっている単調な仕事、創造性を発揮する余地の全くない仕事においてはロボットのように忠実に働くことが求められることがある。正確にプログラムされた機械が処理した方が生産性が高いのであれば機械に任せれば良い。人間は、より創造的な仕事、自由裁量の余地のある仕事に取り組むべきである。
機械を活用しない特殊な生産活動や小規模な製造作業において、例えば、機械の組み立て作業であれば、単調なネジ締めの仕事もあるだろう。そのような単調な仕事においても毎日ネジ締めだけをするのではなく、機械全体の製造を視野に入れて一部または全部を組み立てる仕事が人間にとっては適しているだろう。どうしてもネジ締めだけを担当することが効率的であれば、数時間後、数日後に仕事をローテーションするなどの工夫が必要になるだろう。
監督者の立場で考えれば、部下の創造性、自由意志、個性を最大限引き出すような姿勢、態度、思考が必要となる。それが組織活動全体の付加価値を高めることになる。
製品・サービスの売り手であると同時に、買い手でもあることも多い我々は、良い売り手であると同時に、良い買い手、つまり、売り手の能力を最大限に引き出すような「賢い消費者」でなければならない。
顧客が「上司」や「監督」となる企業の立場に戻って考えると、監督・監視を受ける適切な体制、良好な関係、コミュニケーションを顧客との間に築く必要がある。
【V.スピリット No.43より】
V.スピリット総集編3
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