報酬の対象には一般的な対象と個別対象がある。それらについて考えてみたい。
我々は、企業や組織から報酬を受けて生活している。企業、あるいは、組織も顧客から売上、あるいは、利益として報酬を受けている。
報酬の対象になるものは何だろうか?様々な対象、様々な段階や次元の分類の仕方があるであろうが「一般的対象」と「個別対象」という2つに分けて考えられる。
一般的対象とは、明確な顧客ニーズに対応するものである。例えば、「高画質のテレビが付いていて、音楽も楽しめる携帯電話が欲しい」、また、「ブランドは○○○」というように具体的なニーズに適合する製品、あるいは、サービスを提供することが一般的な報酬の対象となる。
顧客は、具体的なサービスや製品自体に対して対価を支払う。サービスや製品を提供する側にとっては、顧客ニーズに適合したサービスや製品に対して対価を受けとることになる。
顧客ニーズの中核にあるものが「欲しいものを確実に手に入れること」であるとすれば、親切・丁寧であることよりも、確実に購入できること、購入プロセスの明確さや分かりやすさ、サービスのスピード、あるいは価格の安さなどが重要になる。インターネット販売やカタログ通販などでは、店頭に行って買い物をする手間がかからないことや価格が安いことが重視されるだろう。
このような場合、顧客にとってはサービス提供者は、極端な話、誰でも良いことになる。販売員は誰でも良いし、ブランドの指名がなければどのメーカーの製品でも良いことになる。求められるのは、正確さ、忠実さ、スピード、あるいは、安さ(低コスト)である。
事務処理の仕事などにおいては、このような要素が強いだろう。企業は社員に対して、正確に、忠実に、そして出来るだけ早く必要な業務を遂行することを求める。企業はそのような業務を遂行する社員に対して報酬を支払う。
一方で、報酬の個別対象とは、顧客が購入する対象を意識していないもの、購買対象を特定できないようなものである。
野球選手が球団に所属していることに対して得る報酬はせいぜい数百万円であろう。優れた野球選手に支払われる報酬の大半は、不確実ではあるが、過去の実績などから見込まれる活躍の可能性に対するものである。
歩合制の販売員は、会社に所属することによって一定の固定報酬を受け取るかも知れない。しかし、営業成績に基づく成果報酬の割合が多くなるだろう。会社は歩合制販売員に対して、販売を確実に予測することができなくても、より多くの売上を期待するだろう。販売員はそのような期待に応えようとするだろう。
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