顧客はパートナー、共演者、上司、監督、スポンサー【6】

2008.06.09

仕事術

顧客はパートナー、共演者、上司、監督、スポンサー【6】

猪熊 篤史

パートナー、共演者、上司、監督、スポンサーとしてのお客様について引き続き考えてみたい。

顧客を「神様」とは考えていないので、少々大柄な表現になっているとしたらご容赦頂きたい。理屈をこねくり回して、正当化しているように響いたら、まだまだ、人として、プロフェッショナルとして未熟、半人前ということになるのだろう。

先進諸国の経済システムにおいて、「富」あるいは、「経済力」は、人々の社会に対する貢献度によって適切に配分されることになっている。決して、誰かが富を人々に均等に配分するものではない。

貢献度の高い人は、より多くの富、あるいは、収入を手に入れ、それらをまた他者に配分することになる。人が誰かにお金を支払うのは、それに見合う価値の提供を受ける場合である。物乞い、寄付、強盗などでなければ、製品やサービスなど、必ず金銭のやり取りの対象となる何らかの価値があるはずである。

富、あるいは、経済力は、貢献度、提供する価値の高い人々に多く配分されて、貢献度、提供する価値の低い人々には少なく配分されるのが基本原理である。税金などによってこのようなギャップを埋める仕組はあるが、基本にあるのは貢献度や提供する価値に応じた富の配分が行われる。

何らかの貢献、あるいは、何らかの価値の提供がなければ富の配分は受けられないし、経済力も高まらない。企業は顧客やその集合体である社会に対して何らかの価値を提供しなければ売上を上げることはできない。

1万円の価値が認められる品物を1万円、あるいはそれよりも安い価格で販売することは比較的容易かも知れない。しかし、それでは物品の販売者、あるいは企業が利益をあげることは出来ない。企業が提供する製品やサービスに付加価値がなければ利益をあげることは出来ない。

利益があがらないのであれば、成長や変革過程における一時的な例外などを除くと、企業の存在意義、あるいは、存在価値がないことになる。

先進国の経済システムを理解せず、あるいは、理解していても国際的なシステムの中に組み込まれることから反発して、独自のシステムで経済を運営している国はアジアの近隣諸国の中にもある。過渡期における、独自の経済システムへの固執もあるだろう。一方で、先進国の経済システムが万能だとういうものではない。

基礎となる前提が異なったり、基本的なルールが徹底しないと、交渉や対話が合意に達することはないし、交渉や話合い自体が成立しない。あくまでも基本的な価値観、考え方を共有、あるいは理解する人々によってシステムは支えられ、役割を果たしている。

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