創業時の理念とはどんなものなのだろうか?起業理念が意味するものを考えてみたい。
創業者は企業活動を始める時に、事業計画というほど綿密な計画ではないにしても「何を、どうしたいのか?」を明確にする。
「上司の指示を受けて働くのではなく、自分の裁量で働きい」、「自分の持っている資源(時間、資金、資産、知識、能力、ノウハウ、人脈など)の配分を自分で決めたい」、「個性的な人生を送りたい」、「自己を実現したい」、または、それらの結果として「収入や資産を増やしたい」などの動機で起業する人は多いようである。しかし、自分がどうしたいかという漠然とした想いや感覚だけでは、企業の活動は成長しないし、持続しない。
ゼロから事業を立ち上げる段階において、創業者の意志、意欲、想いは、最も重要であろう。しかし、創業者の想いだけの段階の活動に対して「企業」や「経営」という言葉は一般的に使われない。このような起業段階にある活動は「シード・ステージ」などと呼ばれる。シードとは「種」のことである。構想段階の活動は芽が出る前の種にたとえられる。
顧客、顧客と潜在顧客の集合体である社会、あるいは、資金を供給する投資家のニーズに基づて、あるいは、それらの予測に従って経営者は考え、意思決定し、行動する。
企業で働くビジネスパーソンに主体性や経営者としての意識が求められるのと反対に、経営者には働かされている、あるいは、奉仕をしている意識や感覚が必要である。
そのような別世界への入り口にある創業者の価値観や考え方、あるいは目標・目的を明文化したものが創業理念である。
余談だが、創業者、あるいは、経営者全般の目標や目的は、「利益を上げること」、あるいは、「社会や人類に貢献すること」のどちらかに大別される。「利益」と言う言葉が感覚に合わなければ「付加価値」や「効率・効果」という言葉で置き換えても良いだろう。
このような目標・目的に対する創業者の価値観、考え方を創業者自身の言葉で表現したものが「創業理念」である。
このような創業理念は、企業の個性となり、企業文化を醸成する基盤となる。人材は創業者とその創業理念の周りに集い、組織が形成される。組織とそれを取り巻く顧客・取引先・投資家・社会など様々な利害関係者との関わりによって創業理念は修正され更新される。
成功している優良企業は、創業時の理念に忠実であることが多いようである。自社の個性として、組織行動を方向付けるために経営者が意図的、あるいは、無意識に創業理念を尊重している場合も多い。創業理念が何かを考えることもなく、急成長するビジネスが行き詰まった時に立ち戻ることが出来るのが創業理念である。創業理念が十分に練られていない場合、創業者が100年、あるいは200年、300年持続するような普遍的な価値や思考のよりどころを残せていない場合、技術革新やライフスタイルの変化に乗り遅れた場合などには、第二、第三の創業、つまり、経営者・経営陣が中心になって基本的な目標・目的や価値観の再形成を伴う経営の全面的な見直しが必要になる。
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