ビジネスや経営の教育に活用されているケース・スタディについて考えてみたい。
「ケーススタディ」と聞いて読者は何をイメージするだろうか?日本語では「事例研究」ということになる。ビジネスにおいてケーススタディという言葉が一般に意味するものは次のようなもののようである。
□ある特定のテーマに関する実際の出来事についての話を聞くこと
□ある特定のテーマについての報告書や提案書をまとめること
上記の2つが日本におけるビジネスに関するケーススタディの主な形態になっている。
私の考えるケーススタディと日本における一般的なケーススタディのイメージは異なる。ケースメソッドなどと呼ばれるアメリカ式(ハーバード式)の教育を受けた人々と一般的な日本のビジネスパーソンの認識には差がある。これは能力の差ではなく、認識の差である。余談だが、ビジネススクールにおける教育は、あるいは、教育とは、格差を生む、あるいは、助長するものである。機会は平等に与えられるものだが、それを活用するか、活用しないか、あるいは、活用できるか、活用できないかによって大きな差が生まれる。
教育の価値は高くても、それが認知され、理解されないと価値がないに等しい。価値の高い教育を再現することにも価値があるはずだが、認知や理解がなければ再現出来ない。
ケーススタディとは、シミュレーションである。擬似体験を通してものごとを学ぶことができる。もちろん、人の話を聞いているだけでも、自分を主人公に置き換えて考えることによって、擬似体験は出来る。また、実際の事例について論文や提案書を書くことで、自分だったらどうするか、頭の中で自然にシミュレーションすることになるがろう。本を読ことも、心がけ次第でシミュレーションになる。
ケーススタディの中核にあるのは、話すこと、自分の言葉で伝えること、双方向型のコミュニケーションである。
数十ページの物語り風にまとめたケース(小冊子)に書かれているのは、事実の報告だけではなく、経営学の視点で整理された教育コンテンツである。
このようなケースを読むだけでも経営に必要な知識や思考を学べる。事例について読むことで経営の優劣を評価することが出来る。問題や課題を分析したり、あるいは、解決策を考えたりすることができる。事例に書かれている事実を記憶するだけで経営的な判断のための材料を供給するデータベースを構築することが出来る。
しかし、事実を記述したケースの一番の意義は、シミュレーションのための背景や環境、資源や制約の紹介である。重要なのは、環境や資源などの状況を理解した上で、ある時点以降、経営者としてどう考え、判断し、行動するかということである。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
V.スピリット総集編2
2008.06.02
2008.06.02
2008.05.31
2008.05.29
2008.05.28
2008.05.28
2008.05.26
2008.05.26
2008.05.26