社会や企業など、人の集合体である組織における自分の『居場所』、あるいは、自分の『役割』、つまり、『適性』を見出すことが重要だということを前回紹介した。適性について引き続き考えてみたい。
社会、産業、企業、あるいは事業の活動を細分化した過程や役割を適切に満たすものを適性と定義したが、適性は一つの立場や役割ではない。
例えば、組織の活動の目的が「舟を漕いで目的地に到達する」ことだとすれば、手漕ぎの舟の運行、具体的に言えば、船員の働き方は、外的環境、つまり、川を下るのか、川を上るのか、湖なのか、海なのか、あるいは、風向きなどによって変る。手漕ぎでは多大な労力がかかって効率が悪いので動力をエンジンに切り替えると、舟の漕ぎ手の役割がなくなる。その代わりにエンジンのメンテナンスなどの仕事が生まれる。
少し想像力を働かせれば上記のような思考は一般の企業活動にも当てはめて考えられるだろう。例えば、企業の部門は、市場の動向や顧客ニーズの変化に合わせて統廃合される。行政や町内会などにおいても同じような役割の変化が必要になるであろう。
適性を見出すためには、一連の組織的活動における個々の立場・役割を果たすと共に、組織が向かっている方向、組織の目的を個々の主体が認識する必要がある。企業においては「利益を上げる」、「社会に貢献する」などが上位の目的となるが、1段、2段下位のより具体的な目標を組織の構成員が理解する必要がある。
多様性が尊重される自由な職場では、組織の目的をふまえて個々の主体が具体的な目標を設定して行動しなければならない。また、そのような方針が組織内に周知徹底されなければならない。
適性には、集中、責任、義務、安定性がともなう一方で、環境に適応して変化する柔軟性、発展性、拡張性も求められる。
『変らないこと』と『変り続けること』は究極的には同じ性質を帯びるようだが、適性とは、変らないものであり、変り続けるものである。適性とは、全体の目的をとらえ、全体との関係を適切に構成して、全体の変化に合わせて変化するものである。
【V.スピリット No.33より】
V.スピリット総集編2
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