ビジネスや日常生活において相手の立場を考えて行動することがよくある。そのようなゲーム的な状況について考えてみたい。
ビジネスや経営、さらには人の活動は全て「自分」と「相手」という最も単純な分類によって考えることが出来る。自分や自社はどのように考え、どんな戦略を用いて、どのように行動するのかを考える時に、まず自分がどうしたいのか、何を希望するのかなど主観的に考えることが出来る。そして、相手や他社はどのように考え、どんな戦略を用いて、どのように行動するのかを客観的に考えることが出来る。
マーケティングにおいては「マーケット・イン」と「プロダクト・アウト」という考え方がある。他者、顧客、市場、社会が求めるモノを生産する「マーケット・イン」と自社の望むもの、自社に生産出来るものを生産する「プロダクト・アウト」である。「どちらが重要か?」という議論はあるが、考え方の問題でもある。ここでは両方重要という解説にとどめたい。いずれにしても「自分」の活動を考える上で「相手」の視点は欠かせない。自社の戦略に対して他社がどの様に対応するか?、他社の戦略に対して自社はどう対処すべきなのか?などを考えなければならない。
このような、自分と相手の関係において、自社の置かれている境遇、競争環境、市場環境を分析して適切な解答を導き出そうとするのが「ゲーム理論」である。ゲーム理論は、経済学、社会学、ヒジネスを始め、政治や生物学などにも応用されている。複雑な現実に対して、学術的理論であるとの印象は避けがたいが、ゲーム理論の基本的な思考や発想は現実に十分応用できるものである。
例題で考えてみたい。
Z国にはX社とY社の2つの通信会社があって、携帯電話サービスを提供している。8,000万人のユーザーがいて、両社は高速大容量の音声・データ通信が可能なブロードバンドサービスを音声通話の回数やデータ通信の容量に関わらず月額固定料金1万円(日本円換算)で提供している。X社とY社のマーケットシェアはZ国市場を2等分している。各社4,000万人のユーザーがいる。X社とY社の月間の売上はそれぞれ4,000億円である。
X社とY社は売上の拡大を目指して、価格戦略の見直しを検討している。検討している価格戦略は、「現状維持」と「値下げ(月額固定料金5,000円へ)」の2つである。
このようなゲーム理論が扱うゲーム的な環境、つまり、自己の意思決定が他者の意思決定に左右される環境を考える上で重要なのは、「プレイヤー」、「戦略」、「利得(ペイオフ)」の3つの要素である。
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