不確実性に対処するためにオプションという概念が役立つ。オプション理論の基礎と経営への応用を紹介する。
生命保険や損害保険など将来発生するかも知れない損失に対する「保険」は、通常は価値がないが、事故など異常事態が発生した時に価値が生まれる。また、異常が発生して損失を埋める機会がなくても、「安心」という意味において、平常でも価値がある。
金融市場で「オプション」が売買されているが、これらには特定の資産に対する保険としての価値がある。金融オプションには、「コール・オプション」と「プット・オプション」がある。ちなみに、オプションとは、「選択権」、「将来の自由選択権」を表す言葉である。
コール・オプションは、オプションの対象(保険の対象となる原資産)がある特定の価値以上になるとオプションの価値が高まる。プット・オプションは原資産がある一定の価値以下になるとオプションの価値が高まる。また、これらのオプションを購入する場合、損失はオプション自体の価値に限定される。
例えば、現在4,800円の株式を6ヶ月間5,000円で購入出来る権利(オプション)を50円で購入したとしょう。現在、4,800円の株式を5,000円支払って購入する人はいませんが、3ヶ月後に株価が6,000円になったとしたら、5,000円支払うだけで6000円する株式を購入できる。この権利だけでも本質的には1,000円(6,000円-5,000円)の価値があることになる。オプション購入価格の50円を引いても950円の儲けになる。
逆に、株式が値下がりして4,000円になっても損失はオプション購入のために支払った50円に限定される。(4,000円の株式を購入するために権利を行使して5,000円支払う人はいない。この場合、オプションを放棄することになる。)
さらに、複数のオプションの組合せによって様々な収支の形態を作り出すことができる。
生命保険は、健康な状態を100以上と定義すれば、100未満の不健康な状況になった場合に保険金が支払われるプット・オプションだと考えらる。また、損害保険は、損害が発生しない平常な状態を100以上だと定義すれば、100未満となり、損害が発生した場合、その損害額に応じた保険が支払われるプット・オプションだと考えられる。我々は毎月、あるいは毎年一定の保険料を支払って、このようなプット・オプションを買っていることになる。
以上、「オプション」という概念について大まかに説明したが、オプションの概念を金融商品ではなく、現実の経営に当てはめて考えることができる。金融商品としてではなく、現実の経営について当てはめて考える場合、オプションの概念は一般的に「リアル・オプション」と呼ばれる。金融商品ではなく実物的な資産に対するオプションであるためそのように呼ばれる。
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