「あの人とは合わない」、「あの職場は居心地が悪い」など良く聞かれる言葉である。ビジネスに限ったことではないが、人と人の関係、組織における人の様々な行動を考える時に「相性」や「適合性」は重要な問題になる。
人はそれぞれ信念や独自の考え、あるいは、意見を持っている。信念や考えを追及するのか、しないのかは意志の問題でもある。頼れる信念や考えを持つためには、広い視野、知識、教養、また、それらの分析力などの能力や資質も必要である。能力や資質を決めるのは意志であると考えれば、全ては意志の問題である。
強い信念には尊いものだが、それが組織に適合しないと障害となる。人が集まって組織が出来ると、代表者などを中心に何らかの方向性が生まれる。組織の方向性に適応できない人は肩身の狭い思いをすることになる。
組織には、出来る限り多様な価値観や考え方を許容する懐の深さ、多様性や包容力が求められる。しかし、全員のわがままを聞き入れるわけにはいかない。それをふまえて、組織の構成員(社員)は組織と自分の相性を考えなければならない。(そんなことを考えることなく組織の中で柔軟に行動出来る人が最も幸せかも知れない。)
自分の信念や考えが組織に合わないのであれば、組織が法律や倫理道徳に反していない限り、組織を脱退することが正しい選択になるだろう。しかし、注意が必要ないのは、結局のところ自分が天邪鬼である場合、あるいは、いわゆる「へそ曲がり」である場合である。どこにも適合しないようなスタンスをとっている場合は問題である。世の中には「正解」などない。絶対にAかと言えば、もちろんBの可能性もあるし、Cの可能性もある。Aだと言われればBが正解のように感じられ、Bだと言わればCが欲しくなるものである。
反骨精神も重要だが、組織の方向性と適合しないと、組織と共存することが出来ない。組織に適合しない場合は、自分で組織を作るか、他の組織に移る必要があるだろう。反骨精神をもって新たな組織を作るのでれば相当な覚悟が必要であろう。
組織にとっても課題はある。組織行動には「A or B」の選択が求められることがある。企業の戦略とはトレードオフだとも言われる。AとBの両方を選択出来るようなイノベーションが求められることは多いが、少なくても短期的にはAかBのどちらかの選択をしなければならないことが多いはずである。
全てが計画されていて、皆同じ、あるいは、序列に従って決まった行動をすれば良いのであれば選択は必要ないだろう。しかし、グローバルな競争の中で戦略を競い合う(個性を発揮し合う)自由な社会では選択が不可欠である。
企業は成功へと続く選択をしなければならない。組織の構成員の最大の協力を得て、個性や強みを最も発揮出来る選択をしなければならない。組織の構成員は決断を迫られる組織の中にあって組織に貢献をしなければならない。組織においては、最も適切な判断を下し、目標を達成する力のある優れた経営者が選ばれなければならない。
【V.スピリット No.22より】
V.スピリット総集編2
2008.05.28
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