善き人生:犬儒派・懐疑派・快楽派・ストア派そしてイエス

2024.06.23

ライフ・ソーシャル

善き人生:犬儒派・懐疑派・快楽派・ストア派そしてイエス

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/哲学はただ世界を問うだけではありません。むしろ我々自体が最大の謎です。このことは、アリストテレスからローマ時代に気づかれました。そこでは、我々はどう生きるべきかが問われ、イエスもこの問いを取り上げました。/

「契約にもかかわらず、ヤハウェはあまり面倒見がよくなかったみたいですね」


コスモポリタニズム

砂鉄を溶かしても脆い鋳鉄になるだけですが、フイゴを使って素材を1300度以上に加熱すると、炭素含有量が2%未満の鋼鉄になります。前1200年頃、この技術は世界を変えました。鋼鉄は武器はもちろん、輸送や建設を一変させ、多くの国が滅び、新しい民が生まれました。

「北のギリシア人は鋼鉄の武器でエーゲ海を征服したんですよね?」

そればかりか、彼らは東地中海にも進出し、「海の民」としてレバントも侵略しました。それで、ユダヤ人も結局、前1021年にサウル王と常備軍による統一イスラエル王国を樹立しました。次のダビデ王は海の民を破り、三代目のソロモン王は、東洋的専制を取り込み、近隣諸国と婚姻外交を始めました。しかし、それがイスラエルの多神教化を招いたため、彼の後、南半分は保守的なユダヤ教を擁するユダ王国として独立しました。

「現実主義か、原理主義か、選ぶのは難しいなぁ」

イタリア半島北部には中央ヨーロッパと同じ人々がエトルリア人として住みんでいましたが、フェニキア人がシチリア島を占領し、ギリシア人も半島南部へ進出し、さらにアーリア系ラテン人が遠く黒海から北西部に移住してきて、半島中央西海岸に王国アルバロンガを建てました。彼らは互いに対立しながら半島を発展させ、最終的に前753年に、ラテン人、ギリシャ人、エトルリア人の一部の人々を統一して、伝説の王ロムルスがローマ王国を建国しました。

「ああ、トロイア戦争で負けた人たちが逃げてきたという伝説を聞いたことがあります」

イスラエルは紀元前721年にアッシリア帝国によって滅ぼされ、南ユダ王国も同帝国に支配されて、多神教を受け入れざるをえなくなりました。預言者イザヤは、異教のものを清める「聖絶」を主張しました。彼に続いて、若い王ヨシヤは前639年に、一つの神、一つの神殿、一つの選民、をうたう中央集権的な申命記改革を断行しました。しかし、王国はエジプトによって征服され、預言者エレミヤは改革の継続を求めましたが、 前578年に彼らの国は新バビロニアによって滅ぼされ、人々はバビロンに連れて行かれました。

「いわゆるバビロン捕囚ですね?」

預言者エゼキエルは、この苦しみによってユダヤ人の罪は清められたと言って、流刑者たちを励ましました。実際、前538年にバビロニア人を滅ぼしたペルシア帝国は、エジプトとの貿易を回復するために彼らにエルサレムに戻るように促しました。しかし、ユダヤ人の多くはすでにペルシア国内で商業的に成功しており、帰還を望む者はほとんどいませんでした。一方、三つの民族の寄せ集めであるローマ王国は、国王の選出をめぐって争い、最終的に前509年に二人の執政官と300人の議員からなる元老院を擁する共和制に移行しました。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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