善き人生:犬儒派・懐疑派・快楽派・ストア派そしてイエス

2024.06.23

ライフ・ソーシャル

善き人生:犬儒派・懐疑派・快楽派・ストア派そしてイエス

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/哲学はただ世界を問うだけではありません。むしろ我々自体が最大の謎です。このことは、アリストテレスからローマ時代に気づかれました。そこでは、我々はどう生きるべきかが問われ、イエスもこの問いを取り上げました。/

「古代ギリシア哲学は終わりましたが、次は何を学べばいいんでしょう。デカルトやカントのような現代哲学?」

たしかに中世をスキップする教授もいますが、哲学はただ世界を問うだけではありません。むしろ我々自体が最大の謎です。このことは、アリストテレスからローマ時代に気づかれました。そこでは、我々はどう生きるべきかが問われ、イエスもこの問いを取り上げました。

「え?、イエスも哲学者だった?」

おそらく。仏教におけるシッダールタと同じでしょう。

「それで、話はまた古代ギリシアからですね?」

でも、すぐユダヤを含むローマ帝国に移りますので、事前に背景の歴史を見ておきましょう。


ユダヤ教

メソポタミア文明は、チグリス・ユーフラテス流域の四大古代文明の一つでした。彼らは高度な科学技術を持っており、バビロンには月の神を崇拝する高さ50メートルもの塔を建てました。

「バベルの塔ですよね?」

しかし、伝説が語るように、この文明の諸都市に大量の異民族が流入して、同じ言語で意思疎通ができず、さらに前17世紀以来の砂漠化により大混乱が生じました。

「また前17世紀か!」

アラビア半島でも砂漠化が進み、紅海のフェニキア人はレバントに移住し、地中海各地に植民地を築きました。メソポタミアのヘブライ人もやって来て、地元の山の神エル・シャダイの崇拝権を得て、レバント内陸部を占領し、ヨゼフ部族はさらにエジプトに行って、紀元前1650年頃にヒクソスとしてエジプトを征服しました。

「レバントはまさに民族の交差点でしたね」

前16世紀、ナイル川上流のテーベ王朝は彼らを征服して奴隷化し、ピラミッドやその他の巨大な建造物の建設を強制しました。しかし、紀元前1350年頃、モーセは先祖の神ヤハウェから教えを受けたと言い、彼らをエジプトから導き、レバント内陸部のヘブライ人を吸収しました。

「あらま! ヤハウェはエルシャダイと同じですか?」

おそらくそうではありません。そのため、多くのヘブライ部族はそれに参加しませんでした。そもそもそれは契約に基づく奇妙な宗教で、ヤハウェだけを崇拝すれば、ヤハウェが彼らを「選民」つまり「ユダヤ人」として守ってくれるというものです。それは、彼らが神の直接の民となり、地上の王に従属しないことを意味しましました。これに参加しなかったヘブライ人は貿易を拡大し、文化を吸収して大きく発展しましたが、王を持たないユダヤ人はまとまらず、文化閉鎖で停滞し、内紛を繰り返しました。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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