イソクラテスとプラトン:衆愚時代の青年教育の模索

2024.05.29

ライフ・ソーシャル

イソクラテスとプラトン:衆愚時代の青年教育の模索

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/ペリクレスによるアテネの劇場型民主政は、疫病と敗戦で、目立ちたがりのデマゴーグ(大衆扇動家)たちやソフィスト(学識僭称者)たちに引っかき回されて迷走する衆愚政に陥った。ここにおいて、まともな青年教育を担おうとするイソクラテスとプラトン、両者の学校が大いに期待を集めた。/

「彼にとっては、アテネが絶対的な世界の中心なんでしょうね」

興味深いことに、長年イーソクラテスと対立してきた老プラトンも、彼も同じ考えに至ったのです。彼は遺作『法律』で、哲人王の理想を放棄し、それに代えて、37人の哲学者からなる元老院による政府、つまり共和政を構想しました。しかし、それは刑務所のような国家であり、国民を数学的比例の規則と計画で縛り付けるものでした。

「前世紀には実際、そんな国々がありましたね」

プラトンは前347年に80歳で亡くなりました。一方、イーソクラテスは長生きしました。彼は、あい変わらず、北方の野蛮なマケドニアの助けを借りてでもペルシアと戦うことを主張していましたが、前339年にそのマケドニアがギリシアに侵攻したとき、彼は98歳で亡くなりました。彼の学校も、彼以外に教師がいなかったため、廃校になりました。

「正直に言って、二人とも変で迷惑なおっさんでしたね」

好き嫌いに関わらず、二人がその後の哲学や政治に与えた影響は計り知れませんよ。


純丘曜彰(すみおかてるあき)大阪芸術大学教授(哲学)/美術博士(東京藝術大学)、元ドイツマインツ大学客員教授(メディア学)、元テレビ朝日報道局ブレーン、東大卒。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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