国の無策の象徴である「空き家問題」。ここまで深刻化するまで国は何をしていたのか、そして今何をしようとしているのか、さらに「何をしようとしていない」のか。もう一度よく考えてみたい。
そしてもう一歩、踏み込むべきだ。「管理されない空き家」が増える原因の一つを失くすためにも、先に触れた「相続不動産の登記」の義務化に加え、国民個人および法人全てに対し、今所有している不動産の登記の全面義務化を早急に実施すべきだ。
そしてさらに踏み込むべきは、住宅用地での固定資産税の特例措置自体を縮小すべきだと考える。
今、日本は財政危機のさなかにありながら、防衛費を倍増し、子育て支援を格段に拡充しようとしている(後者には大いに賛成したい)。その財源として消費税や所得税の増税などが取り沙汰されているが、それは経済へのダメージが大き過ぎるため、非常に筋の悪い打ち手だ。
むしろこの際、現存する非合理的な税金のアンバランスを思い切って是正すべきで、その一つとして固定資産税を大幅に増額すべきと提案したい。具体的には、公示地価の70%程度と安く設定されている固定資産税評価額を公示地価に近付けること(併せて相続税の路線価も同様だ)、そして固定資産税の特例である住宅用地に対する軽減措置を思い切って半減程度にまで縮小すべきだ。
使われないまま放置されている既存の土地の高度な有効利用を促すことに加え、そうした「放置されている土地を放出させ、有効利用に意欲のある別の個人・法人に再利用させる」方向に政策を切り替えるべきなのだ。
同時に、自治体が自らの費用で略式代執行した土地を割安に市民または法人・団体に売却し土地の再利用を促すよう、国から自治体に交付金を出すのも有効だろう。その際には、隣地の所有者には優先的にかつ少々割安な価格での買い取りを打診する配慮があっていい。区画拡大に仕向けることで地域の宅地環境の改善にもなるし、何と言ってもそれまで放置空き家によって散々迷惑を被ってきた隣人に対して少しは被害補償の機会が与えられてしかるべきだろう。
利用されないどころか地域の足を引っ張る存在である、管理されない空き家をこれ以上放置させては、ただでさえ体力の衰えた日本経済にとっては大きな足かせになりかねない。先送りではなく、今こそ総合的かつ有効な手を打つべきなのだ。社会インフラ・制度
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
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