/大戦後、ドイツナチスの「アーリア仮説」に代わって「クルガン学説」が唱えられ、ウクライナこそがすべての文明の源泉だった、などとされ、東欧移民のコンプレックスとソ連の国家主義のイデオロギーがあいまって、広く世界に流布され、東欧崩壊後、学術風通俗本で評判になり、東欧や移民先の欧米でカルト的な信奉者を生み出した。それがネオナチ。/
いずれにせよ、日本人が英語を話してもアメリカ人ではないように、ケルト人やゲルマン人が印欧語を受け入れたとはいえ、コーカサス出のアーリア人ではない。(それどころか、ナチスが「アーリア人」と考えていた長身金髪碧眼は、EHG系とWHG系が混交した北欧の特異な劣勢遺伝定着にすぎず、中央アジアやインドの濃毛のアーリア人とは「人種」として似ても似つかない。)また、ヨーロッパも、地中海の気風を取り込んだ南フランスからライン河流域、アルプス山中にかけては、クルガン墓を作らなかったように、ヤムナ(ウクライナ)文化が席巻してヨーロッパを誕生させた、などという事実は無い。むしろいずれかが圧倒的な優位になったりせず、多文化が交代し共存して熟成したところに、その後のヨーロッパの豊穣な文化が芽生えた。
歴史
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2022.10.27
大阪芸術大学 哲学教授
美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。