NPO法人「老いの工学研究所」で高齢社会に関する研究活動を続けながら、企業にシニアマーケットに関するコンサルティング、研修・セミナーなどを提供されている川口さん。これから超高齢化社会を迎える日本にとって、必要な視点についてお話をうかがいました。(聞き手:猪口真)
ところが、団塊の世代の人たちは、1960年代、70年代の高度成長期に育っていますから、お金を使うことにためらいは少ないはずです。
猪口 これだけシニア層が増えると、企業としてもシニア層を放っておくわけにはいきません。シニア層がマーケットの中心になってきます。企業には、「シニアはあなたが思っているよりもお金を持っているし、元気ですよ」とアドバイスするわけですね。
川口 商品開発においてはそこからブレないようにすることが大事ですが、すぐケアとか、見守りなどの言葉が出てきます。それは違うと思います。シニア世代は本当に元気です。これからさらに高齢化社会になっていくわけですから、この世代に対するアプローチを間違えてはいけません。
企業もソフトランディングのためにサポートすべき
猪口 たしかに、団塊の世代は今までいろいろなブームを作ってきました。住まい、車、キャンプ、レジャー、ほとんどがそうですね。今の団塊の世代は70歳から75歳くらいですが、先ほど元気になったとおっしゃっていた層よりもさらに元気だということですね。
一方、会社を定年で辞めた途端に会う人がいなくなって、孤独になって、老け込む人も相当いるという話を聞きます。コンサルティングをする中で、そういった方々に企業としてどのようなケアをしていくかといったお話はありますか。
川口 今、定年延長は企業にとって大きなテーマです。シニア世代を本当にこのまま雇い続けるのか、延長され続けても困ると考える会社も多いです。その一方で、定年になって、職場も、仕事も、いわゆる肩書きも急になくなって、地域に放り出されて、まったく知り合いもいないし、居場所もない。男性だけですが、そういう人が非常に多いのも確かです。女性は元気です。
ただし、ここにきて、男性が外に出て行くようになったと感じています。昔はセミナーをすると全員女性ということもありましたが、ここ数年、男性が3割、4割と増えています。定年して、新しい居場所を見つけようという気持ちになる男性が増えてきていると実感します。落語家の方に聞いたのですが、高座をすると、いっときは高齢女性ばかりだったのが、最近男性がすごく増えてきたという話でした。やはりそうなのだなと思いました。
とはいえ、ずっと会社人間できた男性社員に、地域社会で暮らすという違うステージにどうやってソフトランディングしてもらうかは未だに重要なテーマです。企業はどうやったら定年退職者に納得してもらえるか、どうやって役割を与えていけばいいかといったことばかり考えています。それをやったとしても一緒です。次から次へとまた定年を迎えるわけですから、そのような悩みに応えるようにしないといけません。
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