前回 (https://www.insightnow.jp/article/11500) に引き続き、人材開発担当として、企業内で多くの研修を企画運営されてきた富士 翔大郎さんと、ビジネスパートナーとしてお仕事をご一緒されてきたマーケティングコンサルタントの金森努さんと鼎談(第2回目)をお届けします。記憶に残る研修を作とは、、必読です。
お相手:マーケティングコンサルタント金森努様×人材開発コンサルタント富士翔太郎様
【インサイトナウ編集長鼎談】プロフェッショナルとして、コンセプトペーパー、アクションプラン、オペレーション、すべてが必要(前編)
「楽しくて、手応えがあって、心に残る」という3つの要素
猪口 富士さんは実に様々な仕掛けを入れながら、本来の目的に沿う研修をまさに演出されているのですが、ここまでくると、従来の研修をつくるという範疇を完全に超えていますね。
金森 富士さんのすごいところは、それを、記憶に残させよう、特別な経験したと感じさせようと計算してやっているところです。
富士 私がそう思っていることを事務局スタッフが理解してくれていました。例えば業務都合で研修に来られなかった人が後で見られるように、私の研修ではビデオで映像を撮っています。写真もなるべく撮っているので、その画像を受講生に配ったらいいのでは?と提案したところ、若手がそれを冊子にしましょうと提案してくれました。とてもナイスな助言ですね。それで、フォトブックと発表風景が入ったDVDをセットにして配りました。何年経ってもこの時学んだことを振り返り活かしてほしいという願いを込めています。手元にヒントが残るだけで効果は大きく変わると思います。
私の研修の組み立ては、「楽しく、手応えがあって、心に残る」という3つの要素を意識しながら作っています。まず楽しくないといけません。昔は時代のせいもあり、研修とは訓練であり淡々と学ぶものでした。学校の勉強でもそうですが好きな科目、面白い科目は楽しいので、理解も早く成果も出やすいですね。ずっと学校教育の研究もしてきた私にとっては「楽しい、面白い」というのは大前提となっています。
金森 「マーケティングは面白いと思えないと絶対に身につかない」と、私もよく言っています。
富士 そう言うと共感を得られるのですが、冷静に考えると、効果が出るなら「楽しい、面白い」必要はないとも言えます。そのために研修は学校教育とは違い、楽しい必要はないと考える人も少なくないので、場合によっては社内説明が大変なこともあります。
次に重要なのは、研修自体に「手応え」がなければいけません。楽しいだけだと良い映画を見たいわば娯楽と同じになってしまいます。人間は簡単すぎると身に付かなくて、「意外とこれは難しいぞ」という適度な難易度で気合が入ります。少し負荷のかかるテーマで議論したり、軽そうに見えて始めたら意外と頭を使うような、ちょっとしたパズルを研修の中で使ったりします。頭を使って考えに考えないと、鍛えることにはならないでしょう。
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インサイトナウ編集長対談
2022.08.12