コロナ禍は、仕事の仕方の変化だけではなく、仕事への向き合い方、そして将来に対する「自分自身のあり方」についても考えさせられたし、大きな変化があった。内閣府の調査を見ても、「職業選択・希望の変化」について「まだ具体的ではないが将来の仕事・収入について考えるようになった」と答えた人は多い。仕事のやり方、バリューチェーンのプロセスが変わり、これからの社会のあり方に、自分が対応できるのだろうか、これからはどのように自分を作り上げていけばいいのかと、私も含め多くの人が感じたと思う。 自分をどう作り、市場に対して価値のあるものとして訴求していけばいいのか、つまり、今風の言葉で言う「セルフブランディング」をどう組み立てていけばいいのかについても、大きな転換となった人も多いのではないか。
誰かと仕事をするときには、この四つの核を見ている
堅苦しいことを言っているようだが、あなたが、経営者、あるいはある事業の責任者で、誰かあなたの右腕となるような主要メンバーを採用しなければならないとしよう。
そのとき、どのような人物を選ぶだろうか。人によって順番の差はあるかもしれないが、この4つの点について考えるはずだ。
まず、その人物が「どのようなビジネスに関する能力を持っているか」を考えるだろう。事業を引っ張っていくための様々な知識やネットワーク、そして、判断力や実行力などのスキル、事業のレベルや状況によって求められる能力は変わるだろうが、これらを総合した「能力」を備えているか、という点を判断するだろう。
次に、その能力のエビデンスという意味も含めて、これまでどのような結果を出してきたのかも気になるポイントだろう。出してきた結果は裏切らないものだ。その人の力で何を実現してきたのか、何を結果として出してきたのかは重要な問題だ。
では、能力も十分、結果も出してきた。これで十分かといえばそうではないだろう。その人物そのものがもっと問題だろう。
人物そのものについては、2つの側面がある。ひとつはその人物の言動が一致しているか、言うことに一貫性があるのかどうかという、人物の根幹にかかわる部分だ。どれだけ能力があろうが、「約束を守らない」「言うことがころころ変わる」「言葉と行動が伴わない」人では、一緒にやろうと思わないだろう。
そしてもうひとつ、その人物がビジネス、事業をやるにあたって、どのような「思い」「動機」「ビジョン」を持っているのかどうかという点だ。その人の持つ仕事へのミッションと言っていいかもしれない。
これも当然のことだろう。事業への取り組みの動機が自分だけの思惑でのことなら、それは「ほかでやってくれ」ということになるはずだ。
自分自身のブランディングとは、市場価値を作り上げていくこととも言える。
これまでセルフブランディングと言えば、どちらかといえばマーケティング的な要素が主な考え方だった。ブログサイトなどの自分のWebサイトを飾り、SNSの活用、最近では動画の活用をいかに行うかというポイントばかりがもてはやされてきた。「フォロアー〇人」というのはその象徴だろう。
しかし、「信頼性の四つの核」で紹介したように、市場価値は、その人そのものの価値だ。
となれば、本質的に自分の市場価値を高めようと考えるならば、これまでよく言われてきたセルフブランディングの高め方よりは、遠回りかもしれないが、自分の誠実さ、意図、力量、結果を磨き上げるしかないのではないか。
世界中で起こったコロナ禍は、誰にでも大きな環境変化が突然起こりうるということを教えてくれた。結局、どのような環境や状況の変化が起きたとしても、本質的に優れた人は、優れた結果を出すことも明確になった。
その本質とは、「四つの核」に裏打ちされた「信頼性」と言えるのではないか。むしろ、変化が大きければ大きいほど、このような人の「信頼性」が求められるのだろう。
これからのセルフブランディングを考えている人は、ぜひこの「信頼性をつくる四つの核」について考えてみてほしい。
文責:猪口真
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