パンデミック時代のブランド・オーセンティシティ

画像: 写真はダイナ・サーチ撮影

世界的なパンデミックが襲い、我々の生活を脅かしている。そしてさらに、アメリカでは、50年代から60年代にかけての公民権運動以来の社会運動の嵐が巻き起こっている。そんな中で、生活者が企業に切望するのは、「ブランド・オーセンティシティ(ほんもののブランド)」だ。その要望に応えるために企業は何をすべきか、をまとめてみた。

過去20年で激変した「ブランド」の在り方
世界的なパンデミックが襲い、私たちの生活を脅かしています。それに加えて、アメリカではおそらく50年代から60年代にかけての公民権運動以来の社会運動の嵐が巻き起こっています。そんな中で、アメリカの生活者が企業に求めているのは「ブランド・オーセンティシティ」です。

「ブランド・オーセンティシティ」とは、「ブランド」が「オーセンティック(本物)」であるということです。これが何を意味するのか、今日は「企業ブランド」にフォーカスをおいて、少し噛み砕いて説明していきます。

「ブランド」の定義は、ここ20年くらいの間に劇的に変化してきました。その変化は「インターネット」という通信技術の進歩や、それに伴う「ソーシャル・プラットフォーム」の普及に因るところが大きいと思います。

「ブランド」の辞書的な定義は、企業、そしてその商品やサービスを、他社と明確に区別するためのシンボルや特徴ということです。かつて、農家が自分の家畜をよその家畜と区別するために「焼き印(ブランド)」を押したことが語源になっています。

ビジネスの世界では、一昔前までは、「ブランド」といえばロゴやスローガンなど、企業が生活者に持ってもらいたいイメージを訴求するためにつくり上げるものと考えられていました。しかし、インターネットやソーシャル・プラットフォームが普及し、情報の透明性が高まってくると、企業の内情が生活者に筒抜けに見えるようになってきました。そこで、企業が「ブランディング」の考え方を大きく変える必要が出てきたのです。外から見える「イメージ」をつくり上げるというよりは、むしろ、会社の中身(魂、信条、価値観)として揺るがないものを打ち立て、それを商品やサービスなどを通じて表現していくことのほうが重要だと考えられるようになってきました。

「ブランド」が「オーセンティックである」とは、何を意味するのか?
そこで、「オーセンティシティ」とは何か、ということになってきますが、人や企業が「オーセンティック(本物)である」ことには二つの意味があります。ひとつめは「信じること(中身)と行動が一貫していること」、そしてふたつめは「外へ向けて表現することが、ほんとうの姿(中身)とマッチしていること」です。

個人の例でいえば、心の中では「いじめはいけない」と思っているのに、周囲のムードにのまれていじめに加担してしまったら、その人は「オーセンティック」ではないことになります。また、会社に置き換えて考えると、広告宣伝やスローガンでは「自然を守ろう」と唱えているのに、社内では紙やプラスチックなど資源の無駄遣いをしていたり、リサイクルの規則を無視していたりしたら「オーセンティックでない」と咎められるでしょう。

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石塚 しのぶ

ダイナ・サーチ、インク 代表

ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。

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