以前、打ち合わせをしていた時に、実際にあったことですが「戦略」という言葉を乱発する人がいました。「商品戦略があって、そこから販売戦略があって、広報戦略やプロモーション戦略があるよね。そのつながりの中でのプロモーション戦略の意味合いみたいなものを・・・」正直、聞いているのがつらかったです・・・。
ランチェスターの法則の一番大きなメッセージは、
「強い者は強い、普通にやれば負けない。弱いものは弱い、普通にやったら勝てない」
ということだと思います。
確かに、稀に起こる弱い者が勝つケースに関しての知見を教えてくれてはいます。
局地戦に持ち込むとか、強者とはなるべく戦わないとかそういうものです。それは、普通に戦ったら負けるからですね。弱いものが普通に戦ったら負けるというメッセージがランチェスターの一番根本の知見ですね・・・。
定義や出自というものを調べて、その本質は何なのか?というものを考えるという学問を系譜学と言います。20世紀最後の哲学者、ニーチェが著書「道徳の系譜」の中で、当時の道徳批判のために編み出したアプローチによる学問ですね。
ドイツ語で「グード」というのは、「良い」という意味で、「シュレヒト」というのは「悪い」という意味です。
ただ、キリスト教は「弱きもの、貧しきものは良い、幸いだ」、「強きもの、資金のあるものは悪い、不幸だ」と教えている。
しかし、ニーチェは古典に遡って調べました。そもそも「グード」という言葉の系譜を辿ると、それは「強い」という意味で、「シュレヒト」というのは、「弱い」という意味だったのです。
昔は、強いことが良いことで、弱いことが悪いことでした。人はみな、強くなることが良いこと、と考えれば、強くなろうとするのではないか?、それが人類が望むべき道ではないか?、なぜそれが逆転してしまっているのか?
こういったことを思考していく過程で、系譜学というのは成立したそうです・・・。
何が言いたいのかというと、自分への戒めでもありますが、インパクトのある言葉、使っているだけで何か意味がありそうな言葉、「戦略」や「マーケティング」などもそうですが、そういった言葉を使う時の「誠意」のようなものって、すごく大事なのでは?というところですね。
言葉を正確に使えたらいいなあ、と思うのです・・・。
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。