以前、打ち合わせをしていた時に、実際にあったことですが「戦略」という言葉を乱発する人がいました。「商品戦略があって、そこから販売戦略があって、広報戦略やプロモーション戦略があるよね。そのつながりの中でのプロモーション戦略の意味合いみたいなものを・・・」正直、聞いているのがつらかったです・・・。
別に、間違いだとは言いませんが、戦略という言葉でこの人が指しているのは、「プラン」だと推測されます。
ミンツバーグ教授は、著作「戦略サファリ」の中で、戦略というものは10の学派が存在する、ということを書いています。その中にプランニングスクールというものもありまして、戦略はプランだ、という主張をしておりますので、それはそれで有り得ます。
コアコンピタンスで有名なゲイリー・ハメルは、「戦略は単にプランや計画ではない!」と言っていますけどね・・・。
ただ、以前にも書きましたが、戦略というのは競合への意識が強い概念だ、と私は思っています。
それと、別に戦略という言葉を必ずしも使う必要がないところで、使うのはあんまり好きではないです。このことは、マーケティングという言葉に関してもそう思います。
ちょっとお話しが個人的な好みのお話しになってしまっているので、パブリックなお話しに軸を移しますと、私が教わった戦略の定義は、80年代のマッキンゼー社にならって
「持続的競争優位を保持するための打ち手の束」
でした。
初期のマッキンゼー出身の方で経営をされている方はけっこういらっしゃいますが、みなさん同じ教育を受けたようですね。そして、同じような枠組みで自社の社員を教育をされているようです。
ソネットエムスリーさんの研修資料も同じような感じですね・・・。
それはそれとして、「持続的競争優位を保持するための打ち手の束」として、戦略を見ると、なんにでも「・・・戦略」とつけるものでもないのでは?と思えませんか?
打ち手の束なので、明確な方向性があって、その方向性の中で、自社のリソース制約の元でもエグゼキューションできる優先度がついた打ち手がたくさんあるんですね。
そして、打ち手の束は「持続的な」「競争優位を保持」するためのものです。だから、打ち手の束の中でも、短期的、中期的、長期的のポートフォリオがバランスよく組まれているでしょうし、それは、競合に対して優位性を保持し続けられるものでなくてはなりません。
この定義の感覚でいくと、戦略は包括的なもので、部分論という感じではないですよね。
業務プロセスの1つ1つに戦略とつけてみたり、小さな領域に戦略とつけてみたり、というのは違和感がある。
あと、ちょっとずれますが、「ランチェスターの法則」を弱者必勝の戦略という人がいますが、私はそれも聞いていてつらくなります・・・。
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。