いまどき、ビジネスに携わる人間なら、3Cフレームワークを知らないことはないだろう。大前研一氏が最初に言い始めたと言われている世界中に普及したフレームワークである。しかし、戦略概念とのからみで3Cを理解している人は非常に少ないと思う。今日は「3Cフレームワーク」と「戦略」の関係に関して解説したい。
顧客、競合、自社。この3つの頭文字をとって3Cなのは誰でも知っていると思います。
私は、事業会社時代のロジカルシンキング研修で、「自社、競合、顧客」と書いていたら、「ロジカルシンキング」の著者で有名な照屋さんに、「顧客を先に書いてください」と指摘されました・・・。メガネが素敵な女性でした・・・。
まあ、それはそれとして・・・、今時、学生でも知っているこのフレームですが、この3つの概念にフォーカスしている意味は?という論点に対する解を考えることは非常に意義深いと思います。
私がコンサルティング時代に教わった、3Cフレームワークがこの3つの概念にフォーカスしている意味は、軍事上の戦略概念における知見を経営学に適用するためである、という考え方です。
軍事上の戦略概念とは、自国が敵国に勝つためには?という論点への知見の集まりです。以前に触れた「ランチェスターの法則」もその1つであるし、「孫子の兵法」にしても、クラウセヴィッツの「戦争論」、ハートの「戦略論」もその1つだと思います。(この辺りの系譜も当然あるにはあるのですが、本旨とは外れるので詳述はしません。ごめんなさい。)
人類の歴史に置いて、戦争ほど研究されたものもなかなかないですね。どうすれば戦争に勝てるのか?というのを各国は研究してきました。しかも、並外れて頭のいいエリートな人々が考えてきたんです。
「そういった知見を経営に拡張するには?という論点への解として、3Cがある。」というように見ると、3Cの見え方が少し変わってくると思います。
軍事上は、やはり自国と敵国の関係が一番大きい。敵にいかにして勝つのか?という論点への解だから、当然ではありますけど。
その2者間関係における知見は軍事上、山ほどありますね。「彼を知り、己を知れば百戦危うからず」とか、「百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり」とかですね。(両方孫子になってしまいました。ごめんなさい)
これは、2者の間の関係です。ここに顧客という概念が入ると、どうなるのか?ということですね。
「彼を知り、己を知れば百戦危うからず」であれば、競合、顧客、自社を知れば、経営リスクが下がるとでも言えばいいでしょうか?
現在でも、内部、外部環境分析は重要だ、というのは変わっていませんね。
「百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり」
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。