いまどき、ビジネスに携わる人間なら、3Cフレームワークを知らないことはないだろう。大前研一氏が最初に言い始めたと言われている世界中に普及したフレームワークである。しかし、戦略概念とのからみで3Cを理解している人は非常に少ないと思う。今日は「3Cフレームワーク」と「戦略」の関係に関して解説したい。
「戦わないで勝つほうが、戦って勝つよりいい」というお話しですね。競争の激しい市場で勝ち続けるより、戦わないでいい市場で勝てばいい、と読みかえられますね。
ただ、どうしても軍事上の戦略概念は、自国と敵国の関係にフォーカスしています。顧客の支持を、競合と自社で争う、という関係の中で、現在では、自社と競合の関係を中心とした外部環境も大事だけど、自社と顧客の関係が一番大事では?という考え方に傾いてきているように思います。
「自社と顧客の関係」と言われて、ハッとしません?
そう、自社と顧客の関係を中心にして、環境を見ていくのは、マーケティング的なものの見方ですね。
1980年代までの戦略論、特にポーター教授が87年に出した「競争優位の戦略」までは、外部環境優位で、競合との関係を中心とした、外部環境優位の考え方です。
どちらかと言うと、競合への意識が強い。3Cで言うと、自社と競合との関係を中心としながら、環境を見ていく。
多少の誤解をはらんでもよいという割り切りで言うならば、戦略概念は競合との関係を中心とした考え方であり、マーケティング概念は、顧客との関係を中心とした考え方である、ということですね。(当然、2つの概念は統合に向かっている、もしくは統合されており、戦略からマーケティングを取り込む考え方と、マーケティングから戦略概念を取り込む考え方があります。またの機会に詳述しますので、今回は割愛します。)
マーケティング概念では、自社から顧客への意識が強いんです。
3Cには、戦略概念と、マーケティング概念のモノの見方の両方が含まれているんですね。これはすごいことです!
と、少し興奮しました。ごめんなさい。
こういった見方で物事を見ると、やはり経営戦略コンセプトの中で、競合との関係への意識が薄いものは、なんとなく違和感を感じますね。ただ、90年代前半の日本的経営が色濃く反映された戦略論は、内部環境優位の考え方なんですけど・・・。
(この辺の転換と、ゆり戻しのお話しはまた別の機会に・・・)
まあ、それはそれとして、「孫子の兵法」程度であれば、アマゾンですぐにでも買えます。一つ一つを読みながら、3者関係に拡張するとどうなるんだろう?と思って勉強してみると、自分なりの経営戦略のベースみたいなものができあがるのではないでしょうか?
(最近だと、米国国防総省が恐ろしいほど、戦略概念の最先端を行っていますね。その知見を経営に活かす動きも、もう当たり前になっていますが、そのお話しはまた別の機会に・・・)
3C概念を考えるだけでも、本当に深いです。
日本では、こういったアカデミックな知見に対して、軽視の傾向は強いと思います。象徴的だったのは、スティールのブルドックへのTOB事件でしょうか?
経営学は不確実な、よくわからない「経営」というものに対して、少しでも再現性を持って事業をやっていくための知見の集まりです。
その知見をあなたも自社の経営に活かしてみませんか?と思うのです・・・。
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。