サービスを個人や現場任せにするのではなく、組織的に磨いていこうとする企業が増えています。サービスの組織力向上は、方向性や着眼点を意識して取り組むことが重要です。
サービスにだって設計情報が必要
次に3つ目の観点として「設計」も比較してみたいと思います。
製造業において、設計にはヒトも時間もお金もつぎ込んで、命がけで取り組んでいます。それに対して、サービス業ではどうでしょうか。会社の組織図を見ても、「サービス設計部」という部署すらない会社がほとんどです。実際には、サービスを設計は「現場任せ」で、現場のサービススタッフが経験やセンスで良かれと思うサービスを考えて提供しているのです。これでは、サービスの内容や品質がばらつくのは当然と言えます。つまり、サービスの組織力向上の3つ目の観点は、「サービス設計」です。サービスのレベルアップのためには、組織的にサービスを設計して運用していく必要があるのです。
「設計」と「教育トレーニング」を組織的にテコ入れする
このように、製造業とサービス業を「情報転写モデル」を参考にしながら比較してみると、CS向上やサービス向上の大きな課題が浮かび上がってきます。少し極端に表現すると、サービスの現状は、「非常にあいまいなサービスの設計情報を、転写が難しいヒトに対して、現場任せな教育トレーニングで転写しようとしている」と言えます。これでは、サービスの組織力向上がうまくいかないのも当然と言えるでしょう。サービスでお客様に喜んでいただき、サービスで差別化するためには、「サービス設計」と「サービス教育トレーニング」について、組織的にテコ入れできるかがカギになるのです。
service scientist's journal(サービスサイエンティストジャーナル)
2016.07.12
2017.03.28
2017.04.04
2017.04.11
2017.04.18
2017.04.25
2017.05.02
2017.05.09
2017.05.16
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新