サービスや顧客満足の向上が絵に描いた餅になっている企業が案外多いものです。しかし最近では、サービス競争が激化し、本当の意味でサービスの価値や顧客満足を高めなければ生き残れない時代になりました。そこで今回は、お客様から高い評価を得ている企業が押さえている5つの取り組みに触れたいと思います。
サービスやCSの向上のポイントの5つ目を今回はご紹介します。最近では、建前や精神論のサービス改革やCS(お客様満足)向上から脱却し、組織一丸となって経営貢献に繋がる成果を出そうと取り組んでいる企業が増えています。しかしそこには様々な壁が立ちはだかっています。
これまでに4つのポイントを見てきましたが、ここまできても、「どうせ今回もうまくいかないでしょ」という思いを抱く方が多いものです。サービスやCSの向上に取り組む企業は、同じような悩みを抱えています。活動が立ち上がった当初はとても盛り上がるものの、しばらくすると活動のモチベーションが低下してしまい、活動が続けられなくなってしまう。これが過去から繰り返され、何度もCS向上活動が立ち上がっては消えている。だから今回もどうせ成果が出ないのでは、長続きしないのでは、という思いが湧いてしまうのです。この「継続の壁」を乗り越えなければなりません。そこで極めて重要なのが、5つ目のポイントである「サービスの評価とフィードバック」です。
(5)活動成果を評価してフィードバックする
実はこれがうまくできないことが多いのが実態です。サービスやお客様満足は目に見えないので、取り組みが具体的にどんな成果に繋がったのかが分かりにくかったり、実感しにくいという難点があります。成果が実感できなければ、誰でも取り組みのモチベーションが下がってしまうのは当然といえます。裏を返せば、メンバーが納得して始めた活動が少しでも成果に繋がったと分かると、一気に取り組みの歯車が高速回転を始めて、活動が前進し始めます。そんな場面を何度も経験しました。活動を通して得られた成果は、積極的に評価して社内にどんどんフィードバックしていくことが極めて重要なのです。
まずは何より、成果につながるような取り組み方ができていることが前提ではあります。それはこれまでご紹介した4つのポイントと、リピートオーダーと顧客満足の関係性をひも解いたデータを紹介した過去の記事「CS向上の盲点②」をご参考として頂くとして、今回はいかに活動を継続しながら成果を積み上げていけるかに着目したいと思います。
この手の取り組みは多くの場合、目的とする成果が得られるまでには時間がかかってしまいます。顧客満足度の向上や受注・リピートオーダーの増加、客数アップや顧客紹介の増加など、経営に貢献するような成果は、すぐに得られるとは限りません。だからといって、こういった成果が出るのを待っていたら、その前に活動のモチベーションが下がって終息してしまいます。そこでひと工夫が必要です。
service scientist's journal(サービスサイエンティストジャーナル)
2016.06.07
2016.06.21
2016.06.28
2016.07.05
2016.07.12
2017.03.28
2017.04.04
2017.04.11
2017.04.18
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新