サービスや顧客満足の向上が絵に描いた餅になっている企業が案外多いものです。しかし最近では、サービス競争が激化し、本当の意味でサービスの価値や顧客満足を高めなければ生き残れない時代になりました。そこで今回は、お客様から高い評価を得ている企業が押さえている5つの取り組みに触れたいと思います。
サービスやCS向上の成果はすぐに出にくいからこそ、ひと工夫が肝心
目的とする成果が出る手前で、必ず先行指標となる小さな成果がたくさん出ています。これを「スモールサクセス」と呼びます。スモールサクセスには例えば、相談件数や離脱率といった定量的に評価できるものもあれば、お客様からの感謝の言葉や活動メンバーの感想のような定性的なものもあります。目的とする成果の先行指標となるスモールサクセスは何なのかを特定し、それを積極的に評価することで、比較的短期間で成果を評価・フィードバックすることが可能になります。
他にも、すぐに成果に繋がりやすいテーマや施策に特化して取り組むことも効果的です。これを「クイックヒット」と呼びます。クイックヒットとして何に取り組むかは、活動の容易度と期待できる成果の大きさで検討します。短期間のうちに分かりやすい成果を生み出すことで、社内のやる気に火をつけることができます。
いずれにしても、成果実感を得ながら取り組みを進めなければ、取り組みは終息してしまいます。スモールサクセスを含めた活動成果を短期間のうちに生み出し、積極的に評価・フィードバックをすることで、時間を味方につけて、活動が時間と共に活発になり、継続するほどに成果が積みあがる。そんな取り組みに仕立てられればと思います。
そして、5つの取り組みをつなぐ
最後にもうひとつ大切なことがあります。それは、サービスやCSの向上に取り組んだからこそ得られた気付き(価値ある経験知)をもって、これまでに触れた5つの取り組み自体をブラッシュアップしていくことです。こうすることで、時間と共にサービス事業そのものが進化していきます。時間と共に、成果が積み上がり、お客様が我々を選んでくださり、競合との差が開いていく。今回ご紹介した5つの取り組みは、サービス事業の成長に欠かせない取り組みそのものでもあるのです。
service scientist's journal(サービスサイエンティストジャーナル)
2016.06.07
2016.06.21
2016.06.28
2016.07.05
2016.07.12
2017.03.28
2017.04.04
2017.04.11
2017.04.18
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新