サービスを個人や現場任せにするのではなく、組織的に磨いていこうとする企業が増えています。サービスの組織力向上は、方向性や着眼点を意識して取り組むことが重要です。
もちろん失点をなくすことは大切ですが、失点チェックばかりでは、ミスをしないことばかり気になってしまい、現場が気の利いた得点型の対応をして大満足のお客様、リピーターのお客様を増やすためのアクションができません。これからは、得点型のアクションも評価できるサービス品質の項目も盛り込みたいものです。
そこで参考になるのが、以前紹介した「サービス品質の6要素」です。具体的には、正確性、迅速性、柔軟性、共感性、安心感、好印象の6つです。この中でも、正確性、迅速性、好印象はお客様にしてみれば「当たり前」であることが多く、失点しないためのサービス品質と言えます。一方で、柔軟性、共感性、安心感は、得点型の評価を頂ける可能性の高い項目です。この6つを意識して、得点型のアクションも評価できるバランスの良いサービス品質向上を進めて頂ければと思います。
得点型の取り組みは、失点をなくしてから?
「失点をなくす」と「得点を増やす」ことについてお話しすると、「うちはまだまだ失点が多いから、得点型はまだ早いのでは」と質問をいただくことがあります。確かに、クレームが毎日頻発している状況では、得点型の努力をしている場合ではないかもしれません。
しかし、得点を増やす努力は、完全に失点をなくしてから行うべきなのでしょうか?
実はそう呑気なことは言っていられません。今の時代、お客様は「失点がない」だけでは大満足をしてくれません。そこで、失点をなくす努力を継続しながらでも、得点を増やす取り組みを進めなければならないのです。これからは、いかに得点を増やすことができるかが顧客サービスの競争の土俵になってきます。得点型の取り組みに舵を切り、他社に大きな差を付けて、お客様に選ばれ続ける。そんなサービスをぜひ実現していただければと思います。
service scientist's journal(サービスサイエンティストジャーナル)
2016.07.05
2016.07.12
2017.03.28
2017.04.04
2017.04.11
2017.04.18
2017.04.25
2017.05.02
2017.05.09
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新