真の顧客志向を体現する方法(1) 【連載サービスサイエンス:第6回】

画像: woodleywonderworks

2015.09.17

経営・マネジメント

真の顧客志向を体現する方法(1) 【連載サービスサイエンス:第6回】

松井 拓己
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト

「顧客志向」を建前論に感じてしまうかもしれません。しかし最近、本気になって顧客志向を実現することで、サービスやCSで競争優位を築こうという企業が増えています。しかし一体何をしたら良いのか分からない。そこでサービスの本質を理解して、ロジカルかつ組織的に取り組むための方法として、サービスサイエンスが注目されています

だからこそ、「事前期待」の観点でお客様を定義することが極めて重要というわけです。具体的には、どんな事前期待を持ったお客様なのかで、お客様をタイプ分けして定義します。

「お客様」の定義の仕方を変える

例えば、保険の加入相談サービスについて見てみましょう。保険の加入相談にやって来るお客様には、例えば以下のような事前期待の違いがありそうです。

(1)保険内容:「できるだけ安心な保険に入りたい」、それとも「そこそこ安心な保険でよい」。

(2)予算感:「納得できれば高くてもよい」のか、「できるだけ安い保険に入りたい」のか。

(3)相談の進め方:「保険は複雑で考えるのが面倒なので、スタッフからお勧めしてほしい」、または「保険は複雑なので、だまされたくないので自分で理解して決めたい」。

この3つの事前期待の違いを意識して、相談にやって来るお客様をタイプ分けしてみると次のようになります。

(a)「できるだけ安心な保険」に入りたくて、「納得できれば高くてもよい」という事前期待を持つタイプのお客様がいます。その一方で、(b)「そこそこ安心な保険」で良いので「できるだけ安く済ませたい」というタイプのお客様もいます。この(a)(b)両方のタイプのお客様の中にも、相談の進め方への事前期待として、「スタッフからお勧めしてほしい」方と「自分で理解して決めたい」方の両方のタイプがいそうです。

さて、このように事前期待でお客様を定義してみると、どんなことが分かるのでしょうか。次回は、これらのお客様に対する具体的な努力のポイントについて考えてみたいと思います。

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松井 拓己

松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト

サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。           代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新

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