ロジカルシンキングを越えて:2.米国で育まれたロジックの形式

画像: ぱくたそ

2018.03.16

経営・マネジメント

ロジカルシンキングを越えて:2.米国で育まれたロジックの形式

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。

当時、とある戦略ファームでは、別のファームから雇ったパートナーが、ワークプランを作るというのが驚きをもって見られました。「わがファームもワークプランを作らねばならない」ということになり、すぐにファーム全体でワークプラン導入プロジェクトが始まったそうです。

一部の職人的マネジャーは冷ややかな目でその活動を見ていたと思います。ワークプランなんて、「価値ある戦略立案には全く関係がない」と。

ただ、こういった環境でジュニアレベルのコンサルタントは育っています。極限までコミュニケーションが効率化された中で育っているのです。日常会話自体がロジカルな知的兵隊なわけです。

余談ですが、ジュニアレベルのコンサルタントが事業会社に移ると、当初はどうしても、コミュニケーション上の問題が生じます。

効率が良すぎるプロトコルに慣れたコンサルタントは、事業会社の社内コミュニケーションが非効率であることに我慢ができないといったケースが生じる。

また、コンサルティング出身者のあまりに効率的な物言いに、事業会社側のメンバーも面食らうといったことがあるのです。

とある事業会社に移ったコンサルタントが初めて会議に出ました。その時に、彼は普通に発言しているつもりで話をしていたそうです。しかし、会議後、女子社員が「あなたと話していると、機械と話しているみたいな感じがします」と言ったそうです。彼はとてもショックを受けたそうです。

コンサルティングファーム内でも、ロジカルだけどあまり使えるわけではない人々、つまりジュニアレベルのコンサルタントが誕生した時期だったのだと思います。

もともとベースが高い人間ばかり採用し、ロジック教育を施し、現場に放り込む。これが当時のコンサルティングファームの教育でした。

そういった教育を受けたコンサルタントたちが、世の中全体はロジック教育だけでなんとかなるような「錯覚、誤解」を抱いても不思議ではありません。

しかし、それは、ビジネス界のスタンダードではない。間違っています。

戦略策定、企画立案のコアな部分はロジックと言われる部分とは全く別の価値が必要だと私は考えます。しかし、当然のことながら、ロジカルシンキングが役立つ局面や対象は存在します。その適用の仕方や、教え方が間違っているために、効果が上がらないのです。

ロジカルシンキングだけ身に着けたとして、作業員にしかなれないこと。しっかりとした分析、目から鱗が落ちるようなアイデアがなければ意味がないということを系譜的に見てみました。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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