ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。
「ロジカルシンキングは大いなる誤解に包まれている。この誤解を解かねば日本のビジネスパーソンの企画能力の開発を進めていくことはできない。今後、大きな危機が訪れると考えられる日本市場において、この状況を打破するためには、内需を拡大させるような新規事業を次々と興していかなくてはならない。そのためには、日本に投資機会、資金ニーズをもたらすような新規事業を次々と企画できるようなビジネスマンを量産しなくてはならない。日本の将来を、未来を創り出したい。」
この信念のもとにこの文章を書いてみようと思いました。
「ロジカルシンキングなんて、いくらでも本があって、もはや基本スキルとして普及しているではないか。何をいまさら」と思うかもしれません。
確かに、ある時期から、巷にはロジカルシンキング本が溢れました。しかし、それらの書籍を手に取り、学習する真面目な学習者の企画力が一向に上がっていないように見えます。
たとえば、ずっと実施しているエグゼクティブを含めた方々に向けた研修で感じることは、研修当初の段階で比較すると、彼らの企画力は確実に低下していると感じます。いわゆるロジカルシンキングの学習方法は巷にあふれているはずなのに。
これはなぜなのでしょうか?
彼らはいわゆる優秀な方々で、ロジカルシンキングぐらいは知っていて、研修もおそらく受けています。なのに、なぜ、企画力は上がらないどころか低下しているように感じられるのでしょう?
また、コンサルティング出身者が新興企業では企画部門の要職を占めるようになってきているようです。コンサルティング出身者のキャリアが開かれていることは、それが評価されているということなのでしょう。
ただ、そういった企業の企画職の方々が口々に言います。「コンサルティング出身の上司にロジカルに考えなさい!といつも言われるが、どうやればいいかわからない」と。「こうやればいいと言いながら上司はすらすらと企画書を作っていくけれど、どうすればそうなるのかがわからない」と。
それに対して、いわゆるロジカルシンキングとは違ったアプローチで思考を教えていくと、彼らは「ようやくわかった」と言って企業へ帰っていきます。これはどういったことなのでしょうか?
思うに、人々が忘れがちなこととして、そもそも「ロジカル」と「シンキング」は別なるものだ、という前提があります。日本語ではロジカルは論理。シンキングは思考です。これをいっしょくたにすることは、アインシュタインが時間と空間を統合して「時空」という用語を作ったぐらいの飛躍があると思います。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
ロジカルシンキングを越えて
2018.02.05
2018.02.19
2018.03.16
2018.06.11
2018.06.27
2018.07.05
2018.07.19
2018.08.06
2018.08.23
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。