ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。
前回は、ロジカルシンキングに対する問題提起をしてみました。今日はコンサルティングにおけるロジカルシンキングについて批判的に見ていきます。
ロジカルシンキングが普及したにもかかわらず、一向に上がらないビジネスパーソンの企画力という現実があるように思うということを問題提起したわけです。
私が思うに、ビジネスパーソンの企画力が上がらない状況で、人々を混乱させているのが、いわゆる一流のコンサルティング会社出身者です。最近は、事業会社の企画スタッフの多くがコンサルティング出身者になってきました。そして、さも自分はこういうふうにロジカルシンキングを学び、こういうふうに考えていますと主張しています。
彼らは自分が言っていることをまともに検証せずに、世間に「ロジカルシンキング」を流布しているように見えます。彼らはコンサルティングの中で使っている用語や概念などが全て了解できているかのように語ります。
しかし、彼らが本当にコンサルティングにおけるロジカルシンキングを了解しているか非常に眉唾だと思います。
いったいコンサルティングのロジカルシンキングの出自はなんなのか?いわゆる論理学とはつながりはあるのか?ビジネスマンに企画力をつけるには?といったことを考えていった時、それは非常に大きな確信に変わりました。
彼らは「自分たちがやっていることが何なのか?」がわかっていない。
大事なのでもう一度いいます。彼らは「ロジカルシンキング」を教えながらそれがなんなのか?がわかっていない。
一部、良心的な方々がいないとは言いません。そういった方々は、「コンサルティング実務の中でいろいろと経験をして、こういうふうなことだと思ってやっているが、定義されていない用語もそれなりにあって自分も実はよくわからない」といったことを著作の中で明らかにしています。誠意ある物言いだと思います。
しかし、そういった繊細な部分はあまり普及しません。用語だけが普及していく。「MECE」「ロジックツリー」「田の字」「イシュー」「仮説」「そら、あめ、かさ」「ピラミッドストラクチャー」いろいろな用語が誤解にまみれて広がっていきます。
コンサルティング出身者が「ロジカルシンキング」と名のつく著作を書くと、そういう著作をもとに、「ロジカルシンキングを教えます」と称する研修講師たちが「自己流の解釈で劣化した内容を教えていく」という構図が研修業界にはあるように思います。
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。