ニュースや情報に接する視点と感性

2026.04.22

経営・マネジメント

ニュースや情報に接する視点と感性

野町 直弘
調達購買コンサルタント

バイヤーにとって「目利き力」は欠かせない能力であり、日々の業務を通じて育成されていくものです。もちろん、それを意識して業務に向き合っていることが前提となります。この「目利き力」は、単に会社や工場、モノの価値やコストを見極める力だけを指すものではありません。 私はこれを、広い意味での「情報に対する感性」も含めた能力だと考えています。

前回、前々回のメルマガでも触れましたが、バイヤーにとって「目利き力」は欠かせない能力であり、日々の業務を通じて育成されていくものです。もちろん、それを意識して業務に向き合っていることが前提となります。

しかし、この「目利き力」は、単に会社や工場、モノの価値やコストを見極める力だけを指すものではありません。

私はこれを、広い意味での「情報に対する感性」も含めた能力だと考えています。ニュース、日常の会話、市況情報、景況、政治、紛争、さまざまな事案―バイヤーは日頃から外部との接点が多く、活きた情報に触れやすい立場にあります。さらに近年は、AIを活用することで、多様なニュースや情報を簡単かつ低コストで入手できるようになりました。

重要なのは、それら膨大な情報の中から「本当に重要なもの」を見極め、関係するステイクホルダーに展開していくことです。私はこの機能を「インテリジェンス機能」と呼んでいますが、これは今後ますます重要性が高まる役割だと考えています。

私自身、新聞や雑誌、Webサイトなどで目にしたニュースや情報を、コメント付きでチームメンバーに共有することを心がけています。なぜなら、日々流れていく出来事の中に、自分たちの仕事に直結するトレンドの芽が隠れているからです。

例えば、最近特に興味深いと感じたニュースを2つ挙げてみます。

1つ目は、レアメタル調達における代替材として、リサイクル材が注目を集めているという動きです。中国との関係悪化をきっかけに、代替材料の採用を検討する企業は増えています。その中で、日本企業がリサイクル材料を新たな代替材として積極的に検討する動きが加速し、関連ニュースが日々流れてきています。

サステナブル調達が企業戦略の重要テーマとなる中、リサイクル材料は「エコだが高価なもの」から、「サステナブルで、エコで、安価な新たな供給源」へと捉え直されつつあります。いわば、一石三鳥の可能性を秘めた材料です。

もっとも、リサイクル材料の本格採用には

・サーキュラーデザイン(リサイクルしやすい設計)
・リサイクル技術の開発
・リサイクルサプライチェーンの確立
という3つの課題があります。先進企業は、これらの課題をクリアすべく着実に取り組みを進めています。

もう1つ、最近のニュースで非常に興味深かったのが、マツダと日本製鉄のアライアンスによる開発購買推進の取組みです。これは、マツダが日本製鉄とアライアンスを組み、新車の外板周りを一括受注する前提で、車両構造そのものを見直し、素材メーカーのノウハウを開発初期段階から取り込むことで、QCDを作り込んでいく取組みです。

従来の開発購買は、どちらかといえば社内の開発・設計経験者を中心に進められるケースが一般的でした。一方、この取組みは、非系列サプライヤと対等な立場で共創を行う「上流関与型」の新しい開発購買モデルと言えます。このような取組みは、今後さまざまな企業に広がっていくと考えられます。

一方で、若い世代を見ていると、ニュースや情報に対して貪欲に触れようとする意識や、それらを「自分事」として捉える視点が弱いように感じることがあります。なぜでしょうか。

現代はSNSやインターネットを通じて情報が溢れています。トレンドのキャッチアップは非常に早い一方で、社会ニュースについては「どこか遠くの出来事」として受け止められているケースも少なくありません。

背景には、「知っている」ことと、「自分の仕事や生活にどう影響するか」を考えることの間に、大きな壁があるように思います。つまり、So What?(だから何なのか)を考える訓練が不足しているのではないでしょうか。

So What?を考えることは、事象を「自分事化」することに他なりません。それが難しい理由として、タイムライン型の情報消費に慣れ、ニュースの背景や文脈を読み解く思考が弱くなっていること、また情報を点として捉え、自社や自分の専門分野のトレンドという「線」で結びつける訓練が不足して
いることが挙げられます。

これはバイヤーだけでなく、コンサルタントを含むあらゆるビジネスパーソンに共通する課題です。ニュースや情報に対する感性を高めることは、自身の成長や成果に直結します。そのためには、情報の読み解き方を意識的に鍛える必要があります。

例えば、「このニュースが起きたことで、次に困る人は誰か。喜ぶ人は誰か」と自分に問いかけてみる。あるいはニュースを見た際に、「もし自分が担当者だったら、どう動くか」という仮説を1つだけ立て、後日その仮説が正しかったかを検証してみる。こうした小さな訓練は非常に有効です。

また、SNSやAIの要約、他人の感想といった二次情報だけに頼らず、元のニュース記事や統計データにあたること、あるいは自身のネットワークを通じて第三者の意見を聞くなど、「自分の考えの確からしさ」を検証する姿勢も重要です。

ニュースや情報に接する視点や感性が変われば、行動が変わります。仕事は「やらされるもの」から「トレンドへの対応」へと変わり、一気に面白さを増します。

その第一歩は、ニュースや情報に接する感性を高めることの重要性に気づくことです。ぜひ、日々のニュースや情報との向き合い方を、少しだけ変えてみてください。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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