ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。
ロジカルシンキングの本を開くと、一番初めに必ずMECEという用語が出てきます。これは、「ミューチュアリーエクスクルーシブ、コレクトリーエグゾースティブ」の略なのですが、日本語では「もれなくダブりなく」ということです。
これを教えて満足気な講師も昔はいましたし、いいことを聞いたと帰っていくビジネスマンもいました。でも、一ミリも使えないことが多いですね。
とあるロジカルシンキング本には、「世界を地域と国に分けるとこうなりますよね、こういうふうに分けるとわかりやすい。ビジネスでも、こういうふうに分けましょう」と書いてあったりします。
しかし、これを聞いて会社に帰ると、確かに分けてはあるけれど・・・、というような整理をしてあるビジネス文章に落ちるだけです。
MECEはある意味で「はさみ」のようなものです。はさみで切って分けて切って分けて、とやっていくようなものです。単に切っていくだけ、分けていくだけでは、そのうち、すべてが細切れになってしまうだけです。
研修から帰ってきて気づくのです。「分けてからどうすればいいんだろう?」と。これでは困ってしまいます。
また、大学生の就職活動の指導にまでMECEは使われているようです。以前、マックカフェでコーヒーを飲んでいたら、隣の席に座ったいかにも就職活動中の女子大生のような女の子が「自己P、MECEに言えたよー」と言っていました。
おそらく、巷に自己PRのフレームワークみたいなものが流通しているのでしょう。この女子大生が言っているのは、「漏れなくダブりなく自己PRを伝えられた」というような意味なのだと思います。
コンサルティングの研修を受けたような人たちが、さもそれっぽく自己PRの書き方を教えてお金を取るにはいいのかもしれません。ただし、これは本来のMECEではありません。
そもそも、コンサルティング会社の中では、MECEというものはどのように使われてきたのでしょうか?
先に書いたように、初期のコンサルティング会社内には、そもそもワークプランもありませんでした。職人が職人芸として仕事をする時に、ワークプランなんてありえませんよね・・・。
しかし、戦略の実行支援、業務改革が全盛となり、コンサルティング会社内にコンサルタントを量産するようになった時、一定のプロセス管理が必要となってきました。
例えば、大企業全社の業務改革の検討領域は多岐にわたります。それをさすがに分業せずにやるのは至難の業です。ある程度、検討領域を分けた上で、更にその領域を詳細化していく際に、分業が必要となります。
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ロジカルシンキングを越えて
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。