個性[3]~長所も短所もおおらかに受け入れよう

画像: Yasushi Sakaishi @ Lanta Design

2017.10.09

ライフ・ソーシャル

個性[3]~長所も短所もおおらかに受け入れよう

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

14歳から大人まで 生きることの根っこをかんがえる『ふだんの哲学』シリーズ 〈第1章|自己〉第3話

〈じっと考えてみよう〉

 自分の性格や容姿(顔だち・体つき)、才能を見つめて、
 長所・好きな点はどこだろう? 短所・きらいな点はどこだろう?
 それぞれ3点ずつ書きだしてみよう。



人はそれぞれに長所や短所があります。そしてこの長所や短所こそ、あなたが「世界で唯一のあなた」であるための個性をかもしだしています。個性は、その人の味わいであり、輝きであり、魅力です。

あなたがいま書きだした長所や短所はさまざまあるでしょう。ふつうに考えれば、長所はよいものだからどんどん増やしたいと思います。また逆に、短所はよくないものだからなくしてしまいたいと思う。

けれど、もう一段深く考えると、長所や短所といってもそれはとらえ方しだいで変わるものです。これから生きていく間には、長所と思っていることが、じつは短所になって、結果的に害になることが起こるかもしれません。また逆に、短所が長所としてはたらいて、益になることもあります。

たとえば、「いろいろなことに好奇心があり活動的」という長所を持つAさんは、ともかく何にでも手を出しやってみるのはいいけれど、どれもちょっとためしてみるだけで満足し、すぐやめてしまう。そんなAさんは社会に出てからもそんな傾向性が続きました。そのために、ある会社に勤めてはそこをやめ、次の会社に移ってはまたやめることを繰り返し、結果的に安定して職業につけないという人生になってしまいました。


逆に、「人前でしゃべるのが苦手・くよくよ考えすぎる」という短所を持つBさんは、話すことがへたなら、せめて書くことは人よりうまくなろうと決意し、本をたくさん読み、文章力を磨いていきました。また、「くよくよ考える」という傾向性は、いつしか「熟考する・自己分析する」力を強めていった。そのために、Bさんは翻訳家になろうという目標を早くから描くことができました。そして翻訳家となり充実した日々を送ったのでした。

このように自分が長所と思っていることも、逆効果となって悪い結果を生み出すこともあれば、短所としてきらっていることも、実は長い目でみれば良い結果をもたらすことも出てきます。



大事なことは、長所も短所も、好きな点もきらいな点も、それはいっさいがっさい自分の個性なんだと大きな心で受け入れることです。そしてそれらとうまく付き合い、うまく生かしていくことです。その過程で自分というものがしっかりできてくる。

じつは、大人でもよく自己嫌悪におちいります。「自分はこの点がダメだ」「こんな自分はどうしようもない」と、何度も何度も心のなかで自分を責めるのです。たしかに、そうやって落ち込みたいときもあります。しかし、評論家の小林秀雄は次のように書きます───

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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