14歳から大人まで 生きることの根っこをかんがえる『ふだんの哲学』シリーズ 〈第1章|自己〉第2話
生物としての人間は進化してくる過程で、それほど血液型の多様化を進めてきたのです。もし人間に血液型が1種類しかなかったらどうでしょう。その1種類しかない血液型を死なせてしまう強力なウィルスが現れた場合、人類全部が一気に死んでしまう危険性が高まります。しかし、血液型が何種類にも分かれていたら、仮に1種類がやられても他の血液型は生き残ることができます。そうして人類滅亡が防げるわけです。多様に種類をもつことで自分たちを守っているといってもいいでしょう。
さて、冒頭の船の乗り方についての設問をみてみましょう。
正解は「C」です。乗る人が全体的に広がっているほうが船はバランスを保てるからです。「A」や「B」は人が偏っていてバランスが悪い。その船はバランスをくずしやすいので沈む危険性が高い。人が生活する集団もこれと同じことがいえます。学校という船も、社会という船も、地球という船も、個性が多様に広がっているほうが安全や安定が保ちやすいのです。
世の中に多様な考え方があるから、わたしたちはそれに刺激を受けて学んだり、さらによい考え方を創造したりすることができる。人それぞれがいろいろな強みや興味をもっているから、いろいろな仕事を分担して世の中を発展させていける。
料理だってそうでしょう。街にはハンバーガー店もあればお寿司屋もある。牛丼店もある。中華もあればイタリアンもある。そういった多様な店があるから楽しいんです。同時に、料理する人たちにとっても、そうしたいろいろな料理があることで、そこから学べ、新しい料理を生みだすことができるのです。
いろんな顔の人がいて、いろんな体格の人がいる。そしていろんな意見を出し合う。それは世の中に多様性があることでよいことなのです。わたしたちは多様性をおおらかに受け入れるために、次のように心を構えていきたいものです───
○自分が人とちがっていることを気にかけない
○自分が人とちがっているところをおおいに伸ばす
○他の人が自分とちがっていることを見守ってあげる
○他の人が自分とちがっているところから学ぶ
[文:村山 昇/イラスト:サカイシヤスシ]
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キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。