/春になると、アイルランドの学校や公園には、緑の妖精、レプラコーンが現れる。連中は、地下に大量の黄金を貯め込んでいるのだとか。/
それから、かれこれもう半年。そこら中、青年が掘った目印の、背の丈もある長い穂だらけ。だが、青年は、まだ石を除け続けている。季節は変わり、春も過ぎ、もはや汗ばむ陽気だ。あの痩せこけた青年は、すっかり逞しくなり、クワを握る腕も太くなった。顔は日に焼け、まなざしもおだやかに、遠くを見つめる。ああ、結局、町へは出て行きそこなった。どうやら、やっぱりおれはあいつに騙されたらしいな。だが、彼の背後では、真っ青な空の下、一面、たわわに実った黄金のライ麦が初夏の風にそよいでいた。
by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka 純丘曜彰博士
(大阪芸術大学哲学教授、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン)
哲学
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2017.06.13
大阪芸術大学 哲学教授
美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。