新規事業に取り組む大企業の行動パターンに関する素朴な疑問シリーズ、その6つめは事業構想案の可視化のやり方のブレ。部門によって異なるどころか、同じ部門でも人によってバラバラ。しかも考察不足のせいもあって、何を言いたいのか分からないことさえある。
しかし中には、個人的に勉強していたり会社で研修していたりして、なかなか凄い反応を返してくれるケースもある。「ビジネスモデル・キャンバスはどうでしょう」とか、「戦略キャンバスは使ったことがあります」とかのコメントをくれる人たちだ。
MBAホルダーだったり、社外の勉強会などに参加して覚えてきたケースもあったりと、彼らの意欲は買いたいと思う。この2つの「キャンバス」の是非については後ほど論じたい。
いずれにせよ統一の表記法を決めて、それに沿って描いてきてもらう。それでも一部のグループの図は見掛けこそ一見それっぽいが、全く曖昧な内容のままであることが往々にしてある。そこには往々にして華麗で空虚なスローガンが踊っているものだ。
口頭と単純な文字説明では魅力的なビジネスに聞えたはずなのに、それは結局、中身が十分に練られていないままだからだ(後々のことを考えると頭が痛くなる瞬間だ)。まぁそれが本人たちにも自覚してもらえるという「効果」はあると割り切るしかないが…。
さて、建設的な話に立ち戻ろう。新しく思いついたビジネスモデルで最も知りたいのは、「旧来のものとどこがどう違うのか」「一体どうやって儲けるのか」の大事な2点だ。それらを伝えるのに適していると小生がお薦めしたいのは、「バリューチェーン」と「収益モデル」だ。
前者の「バリューチェーン」というのは少々紛らわしい。人によっては「ビジネスシステム」などと呼ぶし、かの経営学の大家、マイケル・ポーター教授が同じ用語を使って、全然違う「企業活動分析図」を表しているということもある。
しかし本来的には「バリューチェーン」というのは、業界の中の価値連鎖の中で当該企業がどんな役割を果たしているか(どんな価値機能を提供しているか)を表すものである。次のような図が典型的なものである(PCメーカーのデルの例)。
後者の「収益モデル」は、物やサービス(および情報)の流れとお金の流れをそれぞれ示すことで、このビジネスは誰が何に対しお金を払ってくれることで成り立つのかを表すものである。「収入モデル」とか「課金モデル」などと呼ぶ人もいるが、意味はほぼ同じだ。こちらは典型的には次のような図となる。
この2つはビジネスモデルとしては不可欠の要素を表すものなので、新規事業の企画者だったら覚えておいて損はないだろう。ビジュアル的なので誰もが直観的に理解でき、きわめてオーソドックスな方法論でありながら、世の中で必ずしも十分に普及していないのは不思議なくらいだ。
新規事業
2015.09.10
2013.04.22
2015.08.10
2015.08.06
2015.09.16
2015.10.26
2015.11.25
2016.04.27
2016.06.22
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け38年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクトを主導。 ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/ ✅中小企業向けの経営戦略研究会『羅針盤倶楽部』の運営事務局も務めています。https://www.facebook.com/rashimbanclub/
