一度離れて、見えたコアコンピテンス

2012.08.21

開発秘話

一度離れて、見えたコアコンピテンス

喜田 真弓

一度辞めても、会社と本人の希望が合致すれば再入社が可能な会社、それがアシストである。 なぜ一度辞めていった社員にもう一度チャンスを与えるのか。創業者で現会長のビル・トッテンは、こう語る。

再入社後、伊奈は辞める前と同じ顧客企業を担当した。ノルマを達成できるようになったのが9ヶ月間の経験に拠るところが大きいことは間違いない。

「9ヶ月間の数字中心の営業の経験が活きているとすれば、とにかく何でもいいから売る、というのもありかもしれません。とにかく売るだけ、というのを徹底してやると、自分の中で何かがわかって、そこから良いこと悪いことが見えてくる。目の前にあることをとことんやれば、自然と次にやることがわかってくるのかもしれません」

目の前の仕事をとことんやっていれば、1度くらい成功体験を味わえるだろう。たとえばこれまでお取引のなかったお客様に自力で売れたなら、ゼロからここまでできたという結果に、何が良かったのかとか、次はどうやってアプローチしたらいいのだろうかとそのプロセスを考えるようになっていく。

「そんな試行錯誤を繰り返すうちに、僕の営業の信条ができてきました。”モノを売る前に恩を売れ”、です。アシストはモノも売りますが、お客様の役に立つのが仕事だと考えています。役にたってその対価をいただく。そのためには喜んでもらえるようなことをするのが原点だと思うんです。お付き合いの長い企業だと案件に1年かかることもありますから、とにかく時間をかけていろいろと話を聞きます。その会話のなかで、データベースの冗長構成はこういうのができるんですよといったお話ができれば、そのときは商売に結びつかなくても、あとでデータベースの相談がしたいと思ったら電話をくださるかもしれない。またはSIのお客様だったら、SIとして受注したプロダクトがちゃんと納期通りに良い品質でお客様に納められるというところでアシストが役に立てればいいし、相手が情報システムの運用担当の方だったら、今まで運用で苦労していたところが楽になって、『人が一人減っても運用できるようになったよ』と喜んでいただければいい。短期的にはモノが売れなくても、お客様に喜んでもらい、『じゃあそのうちアシストから何か買ってあげるよ』と言ってもらえればいいのかなと。そんなふうに思えるようになってきたのです」

伊奈に再入社の道を開いたのはシステムソフトウェア事業部営業統括部長の坂本で、当時も今も上司として伊奈を見守っている。

「営業研修で、仕事に取り組む姿勢について話がおよんだ時、伊奈がこんなことを言いました。“会社として規模の拡大は大事。これにプラスしてその先に何を求めるか、それこそがコアコンピテンスで、営業、技術、全社員がお客様のハッピーを目指す、それがアシストのコアコンピテンスだと思う”、と。それを確信できたのは外に出て違いを体験できたからでしょう。今数字がでているのは、アシストらしさをもって楽しく仕事をしている伊奈の気持ちがお客様にも伝わっているのだと思う。今年からこれまでに加え新規のマーケットを担当するようになっているけど、新たな課題に直面しても、今の伊奈なら解決方法を見出していけると思っています」と、坂本は語る。

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