「コンシェルジュ」をコンセプトに掲げているサービスが増えています。コンシェルジュサービスでお客様に喜んで頂くために押さえるべきポイントとは何なのでしょう?帝国ホテルの一流サービスから、サービスサイエンスの視点で探ってみたいと思います。
■コンシェルジュサービスの3つのポイント
では、このロビーマネジャーが提供するような質の高いコンシェルジュサービスを、他のサービス業でも実現するために、押さえるべきポイントは何なんでしょうか?サービスサイエンスの観点も踏まえて、3つのポイントを挙げたいと思います。
■ポイント1.顧客に寄り添うサービスを設計する
サービス設計と言っても難しい話ではなく、サービスプロセスを書いてみるという程度でも十分価値ある気付きに繋がると思います。それでは先ず、自社のサービスのプロセスを書いてみてください。
ここでよく描かれるサービスプロセスは、提供者側のプロセスだけ(例えば、お客様をお迎えする、など。)であるケースが多いのですが、ここでのポイントは「お客様に寄り添う」サービスを設計するために、お客様側のプロセス(例えば、お店に入る、など)も描くことです。そうすることで、コンシェルジュサービスに必要な様々な気付きが得られるはずです。「お客様がサービスを受けられる前にはどんな事前期待や不安をもっていそうでしょうか?」「お客様を長くお待たせてしまっているプロセスはありませんか?」
このように事前にお客様に寄り添うサービスを設計することで、お客様への共感性を高めると共に、組織としてコンシェルジュサービスの要点を共通認識しておくことが重要だと思います。
■ポイント2.顧客に言われる前に事前期待を感じ取って応える
コンシェルジュサービスにとって最も重要なのは「共感性」です。特にお客様の4種類の事前期待(①共通的事前期待、②個別的事前期待、③状況で変化する事前期待、④潜在的事前期待)の中でも、「個別的事前期待」と「状況で変化する事前期待」への共感性を発揮することが重要です。(*事前期待の詳細説明は以前の記事「CS向上のコツ:どの事前期待に応えるか」をご覧ください。)
更には、「お客様から言われる前に」その事前期待に応えることで感激して頂くというハイレベルなサービス提供が求められます。逆に、お客様に言われた通りにサービスを提供しても、なかなか「気の利いたサービス」という評価は頂けないですよね。
では、共感性を発揮して、お客様から言われる前に「事前期待」に気付くためにはどうしたら良いのでしょうか。以前「スターバックスに学ぶCS向上のポイント」の記事でも触れましたが、特にコンシェルジュサービスのような「気付き型」のサービスでは、マニュアル化が難しいという点で悩まれている方が多いのではないでしょうか。
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サービスサイエンス・CS向上・サービス改革・品質向上
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松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新