感動サービス、リピートサービスの代名詞ともいえるディズニーランド。冷静に考えれば大半の時間を待たされているにもかかわらず、帰る時には誰もが「また来ようね!」と大満足している。なぜこんなに待たされても、お客様は大満足してくれるのか?その理由から、顧客満足を得るためのヒントを考えてみたいと思います。
年間2,500万人以上が利用し、9割以上がリピーターという、大人気のディズニーランド。いまや大成功事業、感動サービスの代名詞となっています。しかし、冷静に考えれば、大半をアトラクションの「待ち時間」に費やしているにも関わらず、誰もが大満足して、帰る時にはまた来ようと思っている。なぜ、これほど待たされても、お客様は大満足してリピートしてくれるのか?ディズニーランドの待ちに対する工夫を、サービスサイエンスの視点で捉えることで、待たせてしまっても顧客満足を得るためのヒントを見出してみたいと思います。
■ディズニーランドの「待ち」に対する努力のしかた
まずは、ディズニーランドが「待ち」に対してどんな工夫をしているのか、いくつかの例をみてみましょう。
『看板で待ち時間を表示する』
どれくらい待てばアトラクションに乗れるのか?それを表示することで、「まだか、まだか」とイライラしながら待たなくても良いように、上手にお客様の事前期待をマネジメントしています。このように、待ち時間に関する情報を事前に伝える工夫は、日常生活の中でも見つけることができます。例えばこだわりのある蕎麦屋さんには、壁に「注文されてから湯がきます」と貼紙をして、お客様にイライラせずに待って頂く工夫をしています。また、歩行者信号のカウントダウンタイマーも同じ役割を果たしていますね。
『ファストパスがあれば少し待つだけで良い』
事前に受け取ったファストパスチケットに書かれた時間帯にアトラクションに行けば、優先的に乗せてもらえる仕組みがあります。これは、ずっと並んでいないといけないという制約を外してあげることで、待ち時間自体を短くして、多くの時間を楽しんでもらおうという工夫です。これは、人気外食チェーンなどで配布される整理券の発展形といえます。
『WEBで待ち時間がリアルタイムに分かる』
WEBで園内の全てのアトラクションの待ち時間がリアルタイムに分かるようになっています。そうすることで、お客様の選択肢が広がり、納得して並ぶことができるようになりました。このように、待ちについてのリアルタイム情報を提供する事で納得感を高めているサービスは他にもあります。例えば先進的な保守メンテナンス会社では、お客様に待っていただく際に「保守作業員が今、どこで何をしているか」をWEBで公開して、安心・納得して待って頂く工夫をすることで、クレーム発生を劇的に低減しています。
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松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新