日本の産業はサービス化が進んでおり、サービス業のみならず製造業や農業、医療分野などにおいて「サービスの考え方」をうまく取り込んで付加価値向上や競争力強化を行うことが極めて重要であると言われるようになってきました。にも関わらず、まだまだ製造業文化でサービスをドライブしている企業が多いようです。そこで、サービスの考え方とはどういうことなのかについて、サービスサイエンスの視点で考えてみたいと思います。
■サービスとは、何なんでしょうか?
これまで見てきたように、日本の産業ではサービスの重要性が高まっています。にも関わらず、サービスは目に見えないために雲を掴むような曖昧なイメージしかできないのが現状ではないでしょうか。ゆえに、「サービス設計」というものを組織としてしっかりと行っている企業はまだまだ少なく、サービスの命である「教育やトレーニング」も現場任せになってしまっている企業が多いようです。その結果、直観や経験だけに頼ったサービス提供がなされ、サービス品質がばらついてしまっているというのが現状だと思います。これでは、サービスで満足して頂くというのは難しいと思います。
それでは、「サービス」とは一体どんなものなのでしょうか?
例えば、サービスの定義については前回の記事で、次の定義をご紹介させて頂きました。サービスサイエンスでは、「人や構造物が発揮する機能でユーザーの事前期待に適合するもの」をサービスとしています。では「事前期待に適合しないもの」は何と呼ぶか?それは、余計なお世話や無意味行為、迷惑行為と言われてしまうのです。この定義からも、サービスにおいては事前期待を意識することがいかに重要かがご理解いただけると思います。
また、製造業に対するサービス業の特徴でよく挙げられるのが次の4点です。「サービスは目に見えない」、「サービスは生産と消費が同時で在庫できない」、「サービスはお客様と一緒に作る」、「サービスはお客様合わせが必要」。これらの特徴を少し別の角度から眺めてみると、もう少し違ったポイントも見えてきます。
例えば「サービスの材料」は何でしょうか?いざこう聞かれると、なかなか答えが出てこないものです。製造業の場合は素材や部品が製品の材料になりますが、サービスの場合は「お客様の課題」が材料になります。つまりお客様が課題を持ってサービスを受けに来て頂かないと、サービスは勝手に提供することができないということになのです。
続いて「評価」についても製品との大きな違いがあります。製品の評価は非常に客観的で、サイズや色や機能、デザインなどを、店頭で眺めたり触って他社品と比べながら評価することができます。それに対して「サービスの評価」は非常に曖昧で、自分が良いと思っていても友人に良くないと言われると評価が変わってしまったりするものです。このように、サービスは客観的な評価が難しいということも言えます。
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サービスサイエンス・CS向上・サービス改革・品質向上
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松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新