ラーメン二郎と言えば、知る人ぞ知る「毎日行列のできるラーメン店」で、ジロリアンと呼ばれるヘビーリピーターが非常に多い事と、WEBでの検索数がラーメン店の中でダントツであることで有名です。そんなラーメン二郎がなぜこれほどまでにコアなファンを獲得できているのかをサービスサイエンスの視点で見つめることで、ロイヤルカスタマーを獲得するためのポイントを探ってみたいと思います。
前回の記事ではスターバックスに着目して“スターバックスに学ぶCS向上のポイント”と題して、「CS向上の努力のしかた」についてお話しさせて頂きました。そこでは、スターバックスにはマニュアルが無く、「ビジョンの共有と権限移譲」によりサービスの質を高めていることに着目して、サービスのコンセプトに合ったCS向上の努力のしかたがあることをご紹介させて頂きました。そこで今回は、同じ飲食業でも少し毛色の違う「ラーメン二郎」のサービスに着目をすることで、ロイヤルカスタマーを獲得するためのポイントをサービスサイエンスの視点から考えてみたいと思います。
ラーメン二郎のラーメンは、とにかくすごいボリュームで非常にインパクトがあります。メニューは「大」「小」の2種類で、「小」でも他店の大盛り以上の量です。そこに独特な言葉で注文をすると、野菜の量、味、背脂やニンニクのトッピングで「カスタマイズ」をすることができる。なかなか初心者には難しそうな雰囲気が漂っています。そして、そこで出される「驚き」のラーメンがクチコミを呼び、毎日開店から閉店まで行列が絶えないというのがラーメン二郎です。
「他人に勧めたくなるサービス」に必要な要素が「大満足+驚きや感動」だということを考えると、ラーメンへの「驚き」がラーメン二郎の人気の理由のひとつだということになしますが、クチコミに関しては別の回に譲ることとして、今回はその行列に並ぶお客様の中に存在する「ジロリアン」と呼ばれるラーメン二郎のヘビーリピーターに着目してみたいと思います。
「ジロリアン」の方々は、わざわざ駅から10分以上も歩いてラーメン二郎に向かい、お店の前で1時間以上行列に並び、カウンターしかない狭い店内で、僅かなメニューを独特の言葉でカスタマイズし、出された驚きのラーメンを一生懸命食べて、わざわざ器をカウンターに戻して雑巾でテーブルまで拭いて帰っていく。そしてまた、数日も経たないうちにこれを繰り返すのです。
■何故、「ジロリアン」と呼ばれるリピーターを獲得することができたのでしょうか?
実はラーメン二郎でも、前回の記事で触れたスターバックス同様に「ビジョンの共有と権限移譲」を行っているんです。その中に、リピーター獲得のヒントが隠されています。ビジョンとして共有されている社訓がこちらです。
社訓
一、清く正しく美しく、散歩に読書にニコニコ貯金、週末は釣り、ゴルフ、写経
二、世のため人のため社会のため
三、Love & Peace & Togetherness
四、ごめんなさい、ひとこと言えるその勇気
五、味の乱れは心の乱れ、心の乱れは家庭の乱れ、家庭の乱れは社会の乱れ、社会の乱れは国の乱れ、国の乱れは宇宙の乱れ
六、ニンニク入れますか?
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松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新