サービス品質の高さで多くのリピーターを獲得しているスターバックス。しかし、サービスの成功事例を学んでも、どう活用したら良いか分からない。「サービス品質を高めろ」と言われても何をしたら良いか分からない。そこで、「サービス品質6つの視点」でヒントを見つけたいと思います。
前々回の記事“スターバックスに学ぶCS向上のコツ"での事例で好評を頂きましたので引き続きスターバックスを事例として、今回は「サービス品質」について考えてみたいと思います。これまでの記事で、顧客満足の向上には「事前期待」の把握が重要だというお話しさせて頂きました。そして前々回からは「どうやって事前期待に応えるのか?」にフォーカスをして、サービスサイエンスの視点で事例からヒントを見つけてきました。そして今回は特に「サービス品質をいかに高めるか?」について考えてみたいと思います。
■サービス品質向上の現状
先ずは、サービスの現場でサービス品質を高めるための努力がどのように行われているか、振り返ってみてください。例えば上司が部下に「サービス品質を上げろ」と指示を出したものの、部下は具体的に何をどう努力したら良いか分からない。ということがよくあるのではないでしょうか。または、サービススタッフが大変優秀で、サービス品質向上の工夫は現場任せになっていて、スタッフ1人1人でやり方や品質がばらついてしまっている。ということもありそうです。いずれにしても、サービス品質をどうやって向上させるかについて、経験や勘だけに頼らない論理的な議論やサービス設計をして、品質を高められている企業はまだまだ少ないようです。もちろん、サービスにはセンスやカリスマ性も重要ですが、そういった逸材にだけ頼るのではなく、組織的にサービス品質をいかに高めるかについて、今回の記事が参考になればと思います。
■基本サービス品質の6つの視点
前々回の記事の冒頭にこんなことを書かせて頂きました。
『スターバックスと言えば、質の高いサービスの代表例ではないかと思います。入店と同時に聞こえる印象の良い挨拶。注文の際の共感性ある親しみやすいコミュニケーション。素早く正確なコーヒーの提供。混雑時などの状況に応じた柔軟な席案内。ゆっくり寛げる安心感ある空間と雰囲気。何度行っても満足して、また行きたくなるという方も多いのではないでしょうか。このような高いCSの評価を得てリピータを獲得することができるサービスは、どのように生み出されているのでしょうか?』
特にどの辺りに共感できるでしょうか?実はこの中に既に「サービス品質6つの視点」が書かれているんです。
サービスサイエンスでは「サービス品質」を分解して、いくつかの種類にまとめています。その中でも最も重要な「基本サービス品質」は6種類あると定義しています。それが「正確性」「迅速性」「柔軟性」「共感性」「安心感」「好印象」の6つです。この6つの視点でスターバックスのサービスを見てみると、例えばこのように整理することができます。
サービスサイエンス・CS向上・サービス改革・品質向上
2012.06.05
2012.05.29
2012.04.03
2012.03.13
2012.03.03
2011.09.22
2011.09.21
2011.06.12
2011.04.29
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新