サービス品質の高さで多くのリピーターを獲得しているスターバックス。しかし、サービスの成功事例を学んでも、どう活用したら良いか分からない。「サービス品質を高めろ」と言われても何をしたら良いか分からない。そこで、「サービス品質6つの視点」でヒントを見つけたいと思います。
【正確性】
・注文されたメニューを間違えないで提供するために、カップにメニュー記号を記入している。
・列に並んだ順番に注文が取れるよう、混雑時にはガイドスタッフが誘導をしている。
【迅速性】
・注文されたメニューを早く提供するようにスタッフ間でうまく連携している。
・提供に時間がかかる場合はあらかじめ「5分程お時間を頂いてしまいますが宜しいですか?」と確認をとってくれる。
【柔軟性】
・お客様の好みに合わせてメニューを細かくカスタマイズできるようになっている。
・混雑時には「先にお席をお取りになって頂いて結構です」と言って席の確保を促してくれる。
【共感性】
・コーヒー豆を購入する際に迷ったら、好みの味や購入履歴など相談に乗ったり、お勧めを紹介してくれる。また、購入時に「きっと気に入ると思いますよ。是非感想を聞かせてくださいね」と一言添えてくれる。
【安心感】
店内は空間にゆとりがあり、ソファー席があるなど、何時間でもゆっくり寛いでよい雰囲気が漂っている。(水が運ばれてくるなどのプレッシャーもない。)
たまに試飲カップにコーヒーを入れて席まで運んできてくれて「是非味わってみてください。ごゆっくりどうぞ。」と言って渡してくれる。
【好印象】
入退店の際や、セルフでマグカップなどを片付けた際の明るい挨拶やお礼。
注文の際に質問がしやすい雰囲気でお客様とコミュニケーションをしてくれる。
これらはほんの一例ですが、こうして整理して見てみると、スターバックスのサービスがより体系的に捉えやすくなります。また、「基本サービス品質」の中にも、重要そうなものと、そうでもなさそうなものがありそうだとお気付きになられましたでしょうか?例えばお客様にしてみれば、スターバックスの魅力は正確性よりも好印象や安心感、共感性にありそうです。
■重要なサービス品質は何かを考える
このように、基本サービス品質もサービスの種類やコンセプト、プロセスなどで、重要な品質が変わるというのが大変重要なポイントになります。前々回のスターバックスの記事の要点の1つが「サービスの種類を定義する」というものでしたが、まさにこの定義次第で重要なサービス品質が変わってくるということを意味しています。特にスターバックスで有名なコンセプトである「サードプレイス」の実現においては、基本サービス品質としては「安心感」が最も重要な品質になるのではないでしょうか。
このように、高いCSを得るためには、6つの基本サービス品質の中で各々のサービスにおいて重要なサービス品質を見定めるということが重要です。但しこれも前々回の記事で触れたように「CS向上の努力の方向」のうちで「失点を無くす」「得点を増やす」のどちらの努力をすべきなのかを考えた上で選択しなければなりません。例えばクレームがものすごく来ている状況で「得点を増やす努力」をしてもほとんど意味がありませんので、先ずは「失点を無くす努力」をするためにはどのサービス品質を高めるべきかを議論する、といった具合です。
サービスサイエンス・CS向上・サービス改革・品質向上
2012.06.05
2012.05.29
2012.04.03
2012.03.13
2012.03.03
2011.09.22
2011.09.21
2011.06.12
2011.04.29
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新