2012.02.27
東大数学、今なら解ける!?~そして「ゆとり教育」の反作用へ
寺西 隆行
(株)Z会
2012年度からの中学校教育と、高等学校の理数教育において、新学習指導要領が施行されます。 中学校においては、理科・数学の大幅な授業時間数増加、高等学校では理数教育の新課程先行実施…そこには現教育課程における理数教育に対する危機感を感じとれます。 そんなに理数能力は落ちているのでしょうか? 行われたばかりの、2012年東大入試、文系数学第一問をご紹介します。皆さんの感じるところは…?
もちろん、高等学校の前段階となる中学校の理数教育も格段に強化されています。
外国語(英語)活動ばかりが世の中で注目を浴びていますが…2012年からの新課程で、中学3年間の授業時間数増加幅、外国語の105時間の次に多いのは、理科の95時間。そして数学の70時間と続くのです。
社会の55時間、国語の35時間に比して、いかに理系教科の強化に走っているか、鮮明にお分かりかと思います。
補)上述「増加幅」という文言を追加しました(2012.2.29)
理数強化の新課程を受けて、各大学の選抜試験もすでに動こうとしています。
東大は、新課程初年度の2015年入試にて、文系学部受験の際、センター試験では理科2科目必須、計5教科8科目とすることを打ち出しました。
※8科目=外国語・国語・数学IA・数学IIB・地歴公民から2科目・理科から2科目
東大情報サイト「UTaisaku-Web」にはこんな文章まで。。。(苦笑)
「近年、一部のアホな文系が科学に対する見識のなさをひけらかしているせいで、東大のお偉方も大層お怒りなのでしょう。2014年度入試まで文系はセンター理科は1科目だけ受験しておけばよかったのですが、これが全員2科目強制になります。」
個人的な予測としては、今年度の東大数学の出題レベルが底、2015年度に向けて少しずつ難化するのではないか、と見ています。
文中で、授業時間数の削減は1980年代から始まっていることをご紹介しました。
この反作用が、2011年小学、2012年中高で始まる新課程に現れ始めているわけですから…
教育の歴史は、今後少なくとも十年以上は、「学校での学習内容を増やす」方向に動くことを物語っています。
そして、今の日本よりも難しい内容を早い段階で扱っている、韓国を初めとするアジア諸国に目をやったり、グローバル化の進展を考えたりするにつけ、この流れは止まらない、そう感じます。
注)「ゆとり教育」は、文科省が提唱し始めた言葉ではありませんが、一般的に「そのように」理解されている教育の概念を指すものとして使わせて頂きました。ご了承ください。
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