日経コンストラクションが「発注者実力ランキング2011」を7月11日号の特集記事に掲載した。 記事の主旨は、普段は受注者を一方的に評価してばかりの公共事業の発注機関を受注者の目線で逆評価しランキングしたものという。
この様に、結果の数字であるコストだけを見ていては、その時の調達・購買の方法が最適であったかという情報は決して得られない。
企画業務は、人に依る要素の大きな業務だ。だからこそ、正当な評価が望まれる。人は公正な評価が得られないと感じた時に、大きくモチベーションを下げてしまう。低いモチベーションの人間からは、どんなにその人の能力が高くても、良い仕事は生まれない。
弊社が実施しているストラテジックソーシングベンチマーク調査もそうした問題意識から生まれたものだ。こちらは、個々の調達・購買業務ではなく、組織や業務インフラが、個々の調達・購買業務で正しい判断が生まれるような仕組みとなっているかを評価している。日本の調達・購買業務の礎づくりという観点から、調達業務のあるべき姿や他社との比較という評価のモノサシを整備するという試みだ(ストラテジックソーシングベンチマーク調査の概要はこちら⇒ http://www.samuraisourcing.com/service/benchmark/ )
これとは別に、個々の各回の調達・購買担当者の判断が正しかったか、改善すべき点がなかったかを確認するというミクロの視点も必要だ。こちらは、その状況を加味して評価しなければならないので、一緒に仕事をした要求元やサプライヤ、同僚・上司でなければなかなか難しい。
それをまとめて行おうとするのが360度サーベイであったり、今回の日経コンストラクションの調査であったりする。ただ、まとめて個々の判断の質を評価しては、具体的な改善のポイントを見失ってしまうので、可能であるならば、判断の度に、まとめるにしても案件毎に、判断の質の評価が行われることが望ましい。
人からの評価を素直に受け止めるのは誰しも難しい。特に、普段、厳しくコスト低減を迫っているサプライヤからは厳しいフィードバックが返ってくることは容易に想像ができる。
それでも、そうしたフィードバックには真摯に耳を傾けなければならない。自分のパフォーマンスを客観的にシビアに評価できなくなった時点で、成長は止まる。
中ノ森 清訓/株式会社 戦略調達 代表取締役社長
調達・購買業務に関わる代行・アウトソーシング、システム導入、コンサルティングを通じて、お客様の「最善の調達・購買」を実現することにより、調達・購買コスト、物流費用、経費削減を支援する傍ら、日本における調達・購買業務とそのマネジメントの確立に向け、それらの理論化、体系化を行なっている。
コーポレートサイト: http://www.samuraisourcing.com/
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます