少し前のものになるが、日経ビジネスONLINEの日本電産の永守社長へのインタビュー記事を見て、「コスト低減に終わりはない」と改めて思わされた。 そのように感じたのは、永守社長の日本企業に対する厳しい環境認識を読んでのこと。今回は、永守社長のその環境認識を紹介したい。
「我々は高級品でいく」戦略のもう一つの問題は、あくまでもモノ発想で顧客発想でない点だ。そこには、自分達がそのコストででしかモノづくりができないので高級品市場を攻めるという考え方しかなく、高級品にニーズがあるのか、その高級品にはどういうニーズがあるのか、どれだけの市場規模があるのかといった顧客視点での発想がまったく欠如している。これではモノは売れない。
では、冒険をせず、これまでの国内を中心としたマスマーケットを中心に守っていけば何とかなるかというと、残念ながらそうはいかない。日本企業がかつてそうであったように、韓国、台湾、中国などの新興国のディスカウント市場のプレーヤーが品質を向上させ、日米欧の先進国のマスマーケットを虎視眈々と狙っている。彼らの攻勢を受け、汎用半導体、パソコンから日本企業が相次いで撤退を余儀なくされたように、また、最近ではスマートフォンで既に韓国、台湾メーカ品が日本市場に多く入ってきている。
永守社長はこのインタビューで説く。「日本企業はもう一度、世界で血みどろのシェア争いをしないといけない。繰り返しになるが、低価格品は新興国企業に任せるなどと言っていたら、やがてやられる。戦い抜くというスピリッツがないとダメなんだ。」
こうしたことを考えると、結局、我われがやらなければいけないことは、「良いものを安く早く作る」ということに尽きる。特に、安くということになると、これからの成長市場、マス市場である新興国市場の価格に見合ったコストでのモノづくりということになる。
そのためには、たゆまぬコスト低減努力を続けていくしかない。コスト低減に終わりはない。
中ノ森 清訓/株式会社 戦略調達 代表取締役社長
調達・購買業務に関わる代行・アウトソーシング、システム導入、コンサルティングを通じて、お客様の「最善の調達・購買」を実現することにより、調達・購買コスト、物流費用、経費削減を支援する傍ら、日本における調達・購買業務とそのマネジメントの確立に向け、それらの理論化、体系化を行なっている。
コーポレートサイト: http://www.samuraisourcing.com/
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます