経済産業省と自動車、素材メーカ首脳らが参加する「自動車戦略研究会」がメーカの垣根を越えた自動車部品の共通化を進める報告書を公表した。 果たして、自動車部品の共通化は国主導で進めるべき話なのだろうか? そもそもメーカの垣根を超えた自動車部品の共通化は進めるべきものだろうか?
参考までに、自動車戦略研究会の委員のリストは以下の通り。
天野 洋一 社団法人日本自動車販売協会連合会会長
石谷 久 東京大学名誉教授
伊東 孝紳 本田技研工業株式会社代表取締役社長
小川 紘一 東京大学総括プロジェクト機構 知的資産経営総括寄附講座 客員研究員
小林 喜光 三菱ケミカルホールディングス代表取締役社長
志賀 俊之 日産自動車株式会社代表取締役最高執行責任者(一般社団法人日本自動車工業会会長)
下村 節宏 社団法人電子情報技術産業協会会長(三菱電機株式会社取締役会長)
白井 芳夫 日野自動車株式会社代表取締役社長
鈴木 修 スズキ株式会社代表取締役会長兼社長
豊田 章男 トヨタ自動車株式会社代表取締役社長
信元 久隆 社団法人日本自動車部品工業会会長(曙ブレーキ工業株式会社代表取締役社長)
深谷 紘一 株式会社デンソー取締役会長
本間 充 社団法人電池工業会会長(三洋電機株式会社代表取締役副社長)
益子 修 三菱自動車工業株式会社代表取締役社長
山内 孝 マツダ株式会社代表取締役社長
こうした話が出てくるのは、経済産業省が電気自動車へのシフトが進むと自動車産業のモノづくりがすり合わせ型から組み合わせ型に変わっていくと見据えているからかもしれない。
モータを中心とした電気制御で動く電気自動車は、ガソリン自動車の機械制御に比べ、部品点数が少なく、組立ても容易で、すり合せ要素が大きく減ると見られている。
加えて、事業の価値の源泉が、製造プロセスから製品を生み出すイノベーションと、マーケティング、販売プロセス、アフターサービスといった顧客との関係づくりのプロセスにシフトしている。
それでも、すり合わせ型か組み合わせ型かというモノづくりのコンセプトは、事業、企業の根幹だ。それによって、企業の生き方、能力の構築の仕方は大きく変わってくる。企業経営者としては、こんな大事な話を、たとえ大得意先であったとしても、第三者が決めるというのは、納得いかない話だ。
自動車部品の共通化は、部品・素材メーカだけでなく、自動車メーカに対してもすり合わせ型でいくのか組み合わせ型でいくのかという同じ問いを突きつける。そのため、研究会に参加している自動車メーカにも、経産省の構想には慎重論がある。
マクロの視点では、コスト低減、効率性、災害にも強い柔らかいサプライチェーンというメリットがある部品の共通化は、当然の帰結なのかもしれない。しかし、一つの産業の中で、個々の企業の生き方には色々あって良いはずだ。また、現在のグローバル競争を勝ち抜けるのは国策企業、自らの力で逆境を切り開いていく企業の一体どちらなのだろう。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
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