CS向上のために「どうすれば喜んでもらえるか」を一生懸命考えているけど、なかなか成果が上がらずに苦労しているという方が多いのではないでしょうか。実はこれは少し筋違いな努力なのです。そこで今回は「事前期待」を理解し、顧客の事前期待に応えるにはどうしたら良いかのヒントを掴んで頂けたらと思います。
■事前期待の構成要素とは
では、事前期待とはどんなものなのか。事前期待を分解することで、事前期待の構成要素を理解すると同時に、特にCS向上に効果的なポイントが見えてきます。
事前期待を分解すると、①「事前期待の対象」、②「事前期待の持ち方」、③「事前期待の持ち主」から成り立っています。
①「事前期待の対象」は、サービス内容、サービス品質、サービス価格で構成されています。
ここでのサービス品質は、例えば「オススメ!」や「new」といった形でお客様に見える化しているものが一例です。
②「事前期待の持ち方」は、共通的な事前期待、個別的な事前期待、状況で変化する事前期待、潜在的な事前期待で構成されています。
事前期待の持ち方には、すべてのお客様が共通的に持っている期待から、お客様毎に異なる期待、1人のお客様でも状況で変わる期待、そして「思ってもみなかった」ような潜在的な期待と、様々なものがあります。
③「事前期待の持ち主」は、ユーザーの属性、ユーザーのサービスへの関わり方で構成されています。
ユーザーの属性とは例えば、「独身の方」か「結婚している方」かといったものです。またユーザーのサービスへの関わり方は例えば、「全て丸投げしたい方」か「自分も一緒にいて見たい・やりたい方」かといったものです。
この中で、CS向上や感動サービスの実現に極めて重要なポイントとなるのが「事前期待の持ち方」を意識することであることが分かりました。
■「事前期待の持ち方」とCS向上のポイント
極めて重要な事前期待の持ち方の4種類について詳しく見ていきたいと思います。
「共通的な事前期待」とは、すべてのお客様が共通的に持っている事前期待です。例えば、ホテルに宿泊した際に「ベッドや水回りが清潔であってほしい」といったものです。このような共通的な事前期待に応えるということだけでは、なかなかCSは向上させられません。但し、この類の事前期待は「満たされて当然」と考えるお客様が非常に多いため、逆にここで「不満」を感じられてしまうとそれだけで「失格」となってしまいます。そこで効果的なのが、共通的な事前期待への対応策を「マニュアル」にして、お客様と接する全従業員に徹底することです。マニュアルは既に多くの企業でも標準化されてきていますが、「共通的な事前期待」という視点で見ると、意外な抜けが見つかることがあるのではないでしょうか。
「個別的な事前期待」とは、お客様毎に異なる事前期待です。例えば、枕は「そば殻で厚手のものが良い」「羽毛で薄いものが良い」といったものです。この場合の感動サービスの例としては、初めて行ったホテルでなかなか寝つけなくてフロントに電話をして枕を自分好みのものに変えてもらったら、別の機会に同じホテルに行ってみたら初めから自分好みの枕がセットされていて感動した、といった具合です。このような個別的な事前期待に応えてお客様に感動してもらったという例は、多くの書籍にも書かれているのでご存知の方も多いのではないでしょうか。この個別的な事前期待に応えるのに有効なのが「顧客データベース」の活用です。こちらも既に取り入れられている企業が多いのですが、なかなか面倒なことが多くてフル活用できていないという方が多いようです。実はこの「個別的な事前期待」に応えることで、サービス提供者側が思っている以上に、お客様に感動して頂く事ができるのです。ですので、顧客データベースの活用を「面倒がらずにしっかりやる」ことが大切なのです。
サービスサイエンス・CS向上・サービス改革・品質向上
2012.03.13
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2011.06.12
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松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新