厚生労働省の調査(2009年)によると管理職全体に占める女性の割合は8%、役職別に見ると部長職では3.1%だという。アシストの場合、取締役7人のうち2人が女性だが、全役職者のうち女性管理者は21人、役職者の12%である。その女性管理職の中、30歳で教育部の部長となり、現在23人の部下を率いるのが豊田敬子だ。
2000年、教育部発足とともに豊田は教育部長に就任する。部下は9人。
「本社ではなく幕張営業所での純粋培養、製品知識もデータベースのOracleオンリーで育ったところに、情報活用系や運用系プロダクトと、触れたことのない分野の研修を統合していくという、本当に大変なミッションでした。就職した時は(アシストに限らず)男社会で出世なんてしないだろうと思っていましたし、媚を売って役職についたつもりもありませんが、女性でしかも経験が少ない中で部長ということで、反発がなかったわけではないので、正直、きついこともありました」
しかしそれと同じくらい、豊田の昇進を喜び、また励ましてくれた先輩たちもいた。
「幕張に内線電話をくれて励ましてくださる方もいました。それは辛かったこと以上に、助けていただいた温かい思い出として心に残っています」
特に嬉しかったのは、部下となった9人が全員協力的だったこと。
「教育部立ち上げ期は、何から手をつけてよいか全くわからない状況でしたが、部下全員が自分のできることを考えカバーしてくれました。特にその時の課長とは家も近かったので、遅くまで呑みながら、今後の教育部について語り合ったこともありました」
こうして教育部でこれまでの研修ビジネスに加えて、人の育成、人材教育分野の勉強や情報収集を熱心に行い、新たにeラーニングのビジネスを立ち上げた。もともと教員志望、そして研修講師も務めてきた豊田がこの分野を任されたことは幸運だった。この期間に試行錯誤しながら学んだことは、メンバーの育成のみならず、現在担当している全社の新人研修やスキル研修など、さまざまな場面で役立っているという。アシストに就職する際に高校の恩師に相談に行くと、「教員はいつでもできる。先ずはサラリーマンとして2~3年でいいから社会に揉まれて来い」というアドバイスを受けたという。その2~3年が、20年近いサラリーマン生活となったのも、日々の仕事の中に人の育成による達成感を感じるからだろう。
「女性で、かつ若く役職に就いたことで、“さぞかし優秀なのでしょうね”と言われた時はかなり心苦しい思いをしました。でも逆に、社内外の多くの偉い人や優秀な方々と出会えたことでたくさんの刺激を受け、さらに自分が成長できたことはラッキーでしたし、また多少の失敗も若気の至りと許していただけたのも、若かったからこそ。感謝しています」
部長職について10年、もう若気の至りは通用しないかもしれないが、これからも研修/eラーニング・ビジネスの拡大、そして育成関連業務の拡充に挑戦していきたい、と言う。
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